2009年05月29日

負債評価益って?

米銀行の四半期決算

このところ
金融市場が一時期よりは
やや落ち着きを取り戻し、
アメリカの各種経済指標や
米企業の決算内容が
下げ止まりつつあることから、
株式市場も
低空飛行ながら
株価が安定するように
なってきました。
また、
米金融大手6社の
1-3月期決算が出揃い
6社のうち5社が黒字となりました。
シティグループでは6・四半期ぶりに
黒字になったと報道しています。
実際に
本業が儲かるように
なったのでしょうか。

今回の決算の内容は
疑ってかかる必要がありそうです。
それは、
特殊な会計処理が
施されているからです。
ポイントは負債評価益の計上です。


■利益のかさ上げ

負債評価益とは、
社債など
企業の負債の時価が下落した場合に、
企業から債権者への支払い義務も
同時に減少したとみなして
その分を利益に計上するものです。
米会計基準では
この処理を認めていますが、
これはいってみれば
見せかけの利益なのです。
その見せかけの利益が膨大で、
シティグループにいたっては
純利益が16億ドルに対して
負債評価益が27億ドルとなっており、
実質は11億ドルの赤字
となっております。

このような
利益のかさ上げまでして
決算数字をよく見せようとすることは、
米金融機関の実態は
債務超過に陥っている可能性が
あるかと思われます。


■ノーベル経済学賞教授の謝罪

金融機関の
不良債権処理の難しさに関して
興味深いコメントがありました。

2008年の
ノーベル経済学賞を受賞した
クルーグマン教授は、
日本の不良債権処理に関して
日本批判の急先鋒でしたが、
以下のようなコメントをしています。

「私たちは、
日本に謝らなければならない。
日本は対応が遅く、
根本的な解決を避けていると、
西欧の識者は批判してきた。
だが、似たような境遇に直面すると、
私たちも同じ政策をとっている。
3月で
8・5%と上昇する米失業率を見ると、
失われた10年を経験した日本より
悪化している」
といっています。


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2009年5月29日(金)
posted by 税理士西塚智裕 at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 法人税・会社経理

2009年05月28日

「貯蓄から投資へ」

■「貯蓄から投資へ」の誘導策

預貯金利子の税金、
非上場株の売却益や
配当の税金は20%で、
上場株式の売却益や配当の税金は
10%です。

その他、
銀行への証券仲介業解禁、
株式投資に関し
3年間の損失の繰り越し
を含む
損益通算税制の導入、
申告不要特定口座制度の創設、
株式譲渡損失と
配当所得の損益通算特例の創設など、

これらが、
「貯蓄から投資へ」の誘導税制です。


■「貯蓄から投資へ」の認知度

しかし、
内閣府広報室の世論調査によると、
「貯蓄から投資へ」という
言葉の内容を理解している人は
18.3%しかおらず、
聞いたことがあるだけ32.3%、
聞いたこともない49.3%
という実態であることが
報告されています。

「貯蓄から投資へ」という
国の方針の認知度は
極めて低いようです。


■なぜ「貯蓄から投資へ」なのか

金融取引の機能の基本は
資金の余剰部門から
不足部門への移転です。
そして
間接金融主体の日本では
余剰資金は金融機関に集中し、
事業資金の貸付のみならず
証券市場へも広く投資されますが、
機関投資家中心の市場は
乱高下の激しいリ
スク煽動型になり易く、
金融危機を誘発しかねません。

それで、
金融取引のリスクを
金融機関に集中させるのではなく、
家計部門を含め
広く社会に分散させ、
そうすることで、
結果的には景気循環や
金融システムに起因する
景気の振幅を
小さくさせたいわけです。


■「貯蓄から投資へ」の欺瞞

しかし、
企業に対するリスクマネーの供給は
必要なことですが、
そのリスクを
家計に直接負わせるのは
避けるべきです。

普通の家計が
リスク資産に対処するには
適切な知識を持っていることが
前提となりますが、
日本の家計資産の大部分は
定期預金ですから、
その知識は期待できません。


■「貯蓄して起業しよう」への転換

世界経済危機の中で、
消費者利益を損なう
円安誘導政策、
円安に依拠した輸出立国政策、
米国債・ドル資産の蓄積という
経済循環政策が
崩壊の危機に瀕しています。

内需中心、
雇用創出、
新しい事業・産業創出型へ
社会構造の大転換が期待されています。
自立して頑張る個人事業者や
零細法人がどんどん生まれ、
雇用の場が創出される
起業促進型社会へこそ
誘導すべきものではないでしょうか。

「貯蓄から起業へ」です。


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2009年5月28日(木)
posted by 税理士西塚智裕 at 00:04| Comment(0) | TrackBack(1) | 経営・その他

2009年05月27日

出産育児一時金など

少子化対策、
出産育児一時金引上げ

子育て応援手当の制度が
実施されている事は
既に紹介しましたが、
政府は経済対策として
出産一時金の引上げと
追加の増額を打出しています。

平成21年1月から
一時金の支給金額は、
1児につき35万円だったものが
38万円となっています。
但、この3万円の加算を
受給するためには条件があります。

その条件は

@分娩した医療機関が
産科医療補償制度に加入している事

A在胎週数(妊娠週数)22週以降の
分娩、又は死産であること


産科医療補償制度
に加入の医療機関とは?

お産に伴って発症した
重度脳性マヒの子と
その親の経済的補償を提供する制度
で、医療機関が掛金を支払う制度
です。
その掛金の支払いの為、
出産費用にはね返り、
費用が上がる場合もあるので、
出産する者の負担を軽減するよう
3万円の増額が行われたものです。
この、
増額された出産一時金の
請求をする際には、
医療機関等へ支払った
出産費用の領収証に
「制度対象分娩であることを証明する」
スタンプを受け、
一時金の請求用紙に添付
しましょう。
普通は
健保加入者が出産費用を
病院に支払い、
請求後に各保険制度から
保険加入者に支払われていますが、
事前申請用の一時金請求用紙
を提出すれば、
各保険制度から
直接医療機関に一時金が支払われます。
出産費用が
一時金の額を超えていた時は
差額だけ払えばよいので、
一度に大きな額を
負担することはなくなります。

今後の一時金の改正予定は、
10月には42万円に引き上げ
られる事が決まっています。
10月以降に出産される方は、
さらに4万円増額される
ことになります。
但、緊急少子化対策という名目で、
平成23年3月迄の暫定措置
とされています。


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2009年5月27日(水)
posted by 税理士西塚智裕 at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 労務・労働

2009年05月26日

給与の変動と税金・社会保険

■給与から控除される税金や保険料

月々の給与から
税金や保険料など
種々のものが差し引かれています。

給与と税金ですぐに連想されるのが
源泉所得税ですが、
月々の給与が上がれば税額も増え、
下がれば税額も減ります。
累進税率ゆえに
増減割合は違いますが、
感覚的にもなじみます。



■給与が変動しても
すぐに変わらない社会保険料


給与から控除される保険料には、
社会保険料(健康保険、厚生年金保険)と
労働保険料(雇用保険)
があります。

このうち労働保険料は
源泉所得税と同じく
月々の給与に連動します。

ところが、
社会保険料は
給与の3か月間の平均額が
それまでの給与の等級と
2等級以上変動した場合に、
月額変更届を提出し、
その後に保険料が変わる
ことになります。

したがって
昇給や減給が保険料に反映するのは
4か月や5か月後になります。


■こんなの不合理、住民税

給与から控除される住民税は、
前年分の所得に対する税額が
12等分され、
今年の6月から来年の5月にわたって
差し引かれます。
今年の1月に
給与が半減したとしても、
5月までは
前々年の所得に対する税額であり、
その後来年の5月までは
前年の所得に対する税額が
差し引かれます。
半減した今年の給与は
来年の6月以後にならないと
反映されません。

給与が上がって控除される税金や
保険料が増えるのは
負担感があまりないといえますが、
給与の下落時に
税金や保険料が
高止まりするのは、
感覚的になじめないどころか
酷ともいえます。

源泉所得税、
住民税、
それと社会保険料みな
「所得」を基にして
税額や保険料を算出しているのに、
その「所得」の中味は異にしています。

「所得」申告の事務負担を
国民に負わせながら、
なおかつその結果の不合理さも
国民に負わせる
旧態依然とした制度を
見直すべきなのではないでしょうか。


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2008年5月26日(火)
posted by 税理士西塚智裕 at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 労務・労働

2009年05月25日

個人事業の開業 〜 届出書類

個人事業は、
簡単に始められそうですが、
個人事業者の場合であっても、
税務署へは
様々な届け出が必要となります。

開業届や
青色申告の承認申請、
専従者のいる場合には
青色事業専従者に関する届出
など、
片手ではおさまらないほどの
書類を作成しなければなりません。


■原則的な効力発生は

新規に開業した場合、
大抵の書類は
開業後しばらくの間に
提出すればいいことになっています。

例えば
青色申告の承認申請は
開業後2ケ月以内に提出すれば、
開業の年から青色申告者として
確定申告をすることになります。
つまり
開業後しばらくの間に
これらの書類を提出すれば、
開業時点から
各規定が適用される
こととなります。
 


■例外的な規定


その1 源泉徴収の納期の特例

従業員に
給与を支払うような場合には
所得税を源泉徴収し、
その翌月10日までに
国に納付すること
となっていますが、
給与の支払を受ける者が常時10人未満
である事業所等については
申請書を提出した場合には
特例としてその納付を
1月(7〜12月分)と
7月(1〜6月分)の
年2回とすることができます。
(これを源泉徴収の納期の特例
と言います。)

ですから
4月1日に開業して
開業と同時にその申請書を提出
したような場合には
4月分から6月分の給与に係る源泉税を
まとめて7月に納付すればよい
と考えがちです。

ですがこの申請書は
一般的に
提出月の翌月末日に承認がされるもの
となっておりますから
4月1日に提出した場合、
特例の効力発生は5月31日となり、
1回目の納付日である5月10日は
特例の適用が受けられず、
4月分の源泉税を
納付しなくてはなりません。

その2 消費税課税事業者選択届

この届出は、
開業した年の12月31日まで
に出せば良いこととなっております。
開業時は何かと物入りで、
尚且つ売上も見込めない場合、
この届出を出せば
消費税の還付が可能となります。
しかし慌てて出して、
結果納付となってしまわぬよう、
じっくり見極めてから
出すようにしましょう。

※ 参考

1.個人事業者の開業時の税務手続き
個人事業者が新たに事業を開始した場合には提出する書類の提出期限は原則として以下の通りとなります。(国税に関するもののみ)
(1) 開業後1月以内
 @ 個人事業の開廃業等届出書
 A 給与支払事務所等の開設届出書
 B 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書  
(2) 開業してから2月以内
 C 所得税の青色申告承認申請書
 D 青色事業専従者給与に関する届出書
(3) 確定申告期限まで
 E 所得税の減価償却資産の償却方法の届出書
(4) 開業年の12月31日まで
 F 消費税課税事業者選択届出書

2.各手続きの効力発生の日
 1.に掲げた手続きのうち@ADEFは単な
る届出であるため、届出と同時に効力が発生し
ます。また、Cについてはその年12月31日に
おいて承認されたとみなされ、その日より効力
が発生することになる場合がほとんどです。
一般的にB以外のものは基本的に確定申告
に関するものであるため、あまり効力発生について神経質になることはありません。
ただし、Bについては、申請書を提出した月の翌月の支給分から適用となるため提出月はその適用がないこととなっていますので注意が必要です。


【所得税法第216条(源泉徴収に係る所得税の納期の特例)】
 居住者に対し国内において第28条第1項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)又は第30条第1項(退職所得)に規定する退職手当等(以下この章において「退職手当等」という。)の支払をする者(第184条(源泉徴収を要しない給与等の支払者)に規定する者を除く。)は、当該支払をする者の事務所、事業所その他これらに準ずるものでその支払事務を取り扱うもの(給与等の支払を受ける者が常時10人未満であるものに限る。以下この章において「事務所等」という。)につき、当該事務所等の所在地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、1月から6月まで及び7月から12月までの各期間(当該各期間のうちその承認を受けた日の属する期間については、その日の属する月から当該期間の最終月までの期間)に当該事務所等において支払った給与等及び退職手当等(非居住者に対して支払った給与等及び退職手当等並びに第204条第1項第2号(源泉徴収をされる報酬又は料金)に掲げる報酬又は料金を含む。)について第2章から前章まで(給与所得等に係る源泉徴収)の規定により徴収した所得税の額を、これらの規定にかかわらず、当該各期間に属する最終月の翌月10日までに国に納付することができる。



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2009年5月25日(月)

posted by 税理士西塚智裕 at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 所得税

2009年05月22日

長寿医療制度

低所得層の負担軽減

「長寿医療制度」は
75歳以上を加入者として
一年前に発足しましたが、
高齢者を軽視している
との批判も続出したようです。
当初は
「後期高齢者医療制度」
という名称で、
この名も不評の一因
ではありました。
今では名称は
両者並列的な扱いで表示
されることが多くなりましたが、
それ以外にも
制度に不満を持つ人は
今もいるようです。
批判もふまえ、
今年度よりいくつかの点が
改正されたので見てみます。

@保険料の納め方は、

年金からの天引きか
口座振替かを選択することが
できるようになりました。
配偶者や
同居する子供の口座からでも
振替利用できます。
口座振替の場合の
社会保険料控除は、
口座の名義人に適用されます。
ですから、
口座振替に変更する場合は、
誰の口座から振替するのか
考えて行うことが必要でしょう。

A保険料に新たに9割減額制度創設。

保険料は、
全員一律に掛かる「均等割」と
所得に応じて決まる「所得割」
から成立っています。
均等割額は、
軽減割合が7割、5割、2割
であったものが、
7割軽減を受ける世帯のうち、
長寿医療制度の被保険者全員が
80万円以下の(例えば、夫婦共
国民年金しか収入が無い等)
低所得者世帯は
9割軽減されます。
又、所得割部分でも行われていた
軽減措置は、21年度も継続されます。

B健康保険の被扶養家族だった方の
保険料特例、
制度開始前、政管や健康保険組合の
健康保険の被扶養者で、
保険料を払っていなかった方は、
制度開始当初から2年間は、
所得割額は無料となっています。

均等割額の負担率は
20年10月から負担無から
1割負担にはなりましたが、
21年度から5割負担になる予定のところ、
今年度も1割負担のまま
ということになっています。

このように、
保険料負担が軽減されることは
良いことに違いありませんが、
総選挙を意識した対策
でもあるといえるかもしれません。


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2009年5月22日(金)
posted by 税理士西塚智裕 at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 労務・労働

2009年05月21日

「経営革新計画」の承認を受けよう

「愛媛県の従業員26名の
タオルメーカー・株式会社オリム
は、問屋主導の受身型生産体制
であったが、
シェアが東南アジアに
とって代わられる状況下で、
約13年前から
素材や使用感にこだわった
自社開発の
オリジナル商品・
ボディータオル・
マフラー・
帽子などを生産・販売、
3年前に
自社開発商品の売上が
50%を超えたところで
全社員が自社商品に誇りと
責任が持てるようになった。」
と言う事例が
中小企業庁の経営革新事例集に
紹介されています。

この会社は
政府の施策による
「経営革新計画」の承認を
平成15年に取得し、
政府の支援を受けています。


■「経営革新計画」とは

「経営革新計画」は
所定の計画を立てて、
都道府県の承認を得ると、
「やる気がある中小企業」
として認められ、
政府系金融機関による低利融資、
税制措置(設備投資減税)
中小企業信用保険法の特例(別枠保証)
などの支援策が受けられる制度です。

また、
東京都の調査によると、
新製品開発計画の立て方が分かった、
新商品の開発ができた、
知名度・信用度が向上した、
宣伝・営業がし易くなった、
社内の意識づけができた、
中長期計画の立案が可能になった、
計画の実行性が増した、
などの経営メリットが
あるものです。

この制度は
平成11年施行の経営革新支援法、
平成17年改正施行の
中小企業新事業活動促進法
に基づく施策で、
10年前からの累計承認件数が
全国で約3万件と、
全国の中小企業
(個人事業所を含む)420万社の
わずか0.7%に過ぎず、
あまり良く知られていません。


運転資金借入れのあとにくるものは

昨年からの大不況下で
今、殆んどの業種が不況業種
と認定され、
特別な保証枠で
運転資金を借りられますから、
これを利用して
多くの中小企業が
生き残りを図っています。

しかし、その次には、
利益体質を確保した上で
返済しなければなりません。

つまり、
真の生き残りは、
経営力を高め、利益体質を確保する以外に
道はないのです。


真の「経営革新」に取り組もう

大不況からの
経済回復期を睨んで
真の経営革新に取り組むべき時
がやってきました。

「経営革新計画」の承認申請
については、
都道府県の相談窓口や
全国の商工会議所等で
相談に乗ってくれます。

中小企業庁「経営革新事例集」

中小企業新事業活動促進法に基づく
 経営革新計画のご案内


※「経営革新計画」とは

中小企業新事業活動促進法に基づき、
中小企業者が作成する、
新商品の開発や
新たなサービス展開などの取り組みと
具体的な数値目標を含んだ
3年から5年のビジネスプラン
のことです。


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2009年5月21日(木)

posted by 税理士西塚智裕 at 18:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営・その他

2009年05月20日

欠損金の繰戻還付制度の欠点

今年の税制改正項目の一つに
中小企業の
欠損金の繰戻還付の復活
があります。

この適用には、
繰戻還付の請求をすると
税務調査があると言われていることや、
繰越控除との
有利不利の検討が必要です。


■還付請求ができる金額


         当期欠損金額
前期法人税額×―――――――――
         前期所得金額


この算式で
繰戻還付税額は計算されます。

前期の課税所得が800万円で
法人税額が176万円だったとして、
当期に欠損金が400万円生じた
としますと、

還付請求できる法人税額は、
次のように計算されます。

176万円×400万円÷800万円=88万円

結果、
88万円の法人税額が
還付請求できます。


■800万円超だったら

前期の課税所得が
1000万円だったとすると、
税額は次のようになります。

800万円×22%=176万円
200万円×30%= 60万円
     計 236万円

当期に欠損金が
400万円生じたとすると、

還付請求できる法人税額は、
次のように計算されます。

236万円×400万円÷1000万円=94.4万円

課税所得が
800万円の時に比べ、
税額が60万円も増えていたのに、
繰戻還付額は
6.4万円しか増えません。

前期の課税所得が

(1000万円−400万円)で
600万円だったとすると、

前期の本来の税額は、
(600万円×22%=132万円)
だったはずであり、
(236万円−132万円)ということで、
差引き104万円戻ってもよいはずです。

9.6万円も過少還付です。


■累進税率なのに平均法

前期と当期を通算して、
前期の黒字の税額を還付してくれる、
という制度を作りながら、
計算してみると、
還付額が少なくなります。

累進税率で課税しながら、
還付の段になると
平均法にしているからです。

所得税にも
同じ制度がありますが、

こちらは平均法を採らず、
欠損額控除後で
所得税の再計算をするので、
過少還付は生じません。
なぜか、
複数税率の適用を受ける
中小法人に対してだけ
こんな扱いをしています。


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2009年5月20日(水)

posted by 税理士西塚智裕 at 14:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 法人税・会社経理

2009年05月19日

税制改正法律原案

今年の税制改正経過


「所得税法等の
一部を改正する法律案」
は、
衆議院本会議では
平成21年 2月27日に可決され、
参議院では
平成21年3月27日に否決され、
衆議院の優越権のもと、
同日に法律は成立し、
平成21年3月31日公布されました。

経過と法律案は
衆議院のホームページで
確認できます。


税制改正法案はこんな形

この法律案は、
所得税ほか
国税に関するいくつもの
税法の改正部分を
一括記載するとともに、
各税法毎に1条文内に収め、
「改め文」という形式で
表現されています。

所得税法関係改正は
第1条に、
法人税法関係改正は
第2条に
という具合で、
本則全7条で、
その後に各改正部分の
施行期日を記載する附則があり、
これは全104条です。
全分量は、
1行50文字にして
8500行近くあります。

「改め文」とは、
「第○条中『△△』を
『□□』に改める」、
「第○条中『△△』の下に
『□□』を加える」、
「第○条中『□□』を削る」
といったように、
改め、加え、削る箇所のみを
改正法中に示すもので、
読んで書かれている意味が
すぐわかるはずのないもの
になっており、
元の法律の該当個所と
見比べることが前提になっています。


国民が実際に見る形は

実用に供される法律書として
市販されたり、
ネット上にて公開されたりしているもの
においては、
法案が法律になったあと、
改正対象となった
元の各税法の各条文は
「改め文」の内容に従って書き換えられ、
通常の法律文として
読みやすいものにされて、
提供されています。


地方税法改正の場合は

税制改正は
基本的に2本立てで、
もう1本は、
「地方税法等の一部を改正する法律案」
として提出されます。

この法律案も、
表現形式は
国税の場合と同じですが、
地方税は、
国税の場合と異なり、
20以上の地方税関係税目が
地方税法という
一つの法律に収録されていますので、
地方税改正法案の大部分は
地方税法を改正する
第1条で占められています。
それでも、
1行50文字にして
4000行近くあります。


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2009年5月19日(火)
posted by 税理士西塚智裕 at 13:54| Comment(0) | TrackBack(0) | その他税金

2009年05月18日

2010年代税制改正

税制改正法附則
に書かれているもの

「所得税法等の一部を
改正する法律案」は
3月31日に公布されました。
この法律は、
本則と附則に分かれており、
今年の、
この附則の最後の条文は
個別税法の改正項目ではなく、
2010年代税制改正プログラム
というもので、
異例な内容になっております。

昨年暮れ、
将来の抜本的税制改革
の一環として
消費税の見直しをすることが
閣議決定されたことを
承けたものです。


2010年代税制改正の内容

それをみると、
2010年代半ばの税制は
次のようになるようです。

●個人所得税については、
最高税率をアップし、
給与所得控除の上限制限をし、
高所得者の税負担を引き上げる
とともに、
給付付き税額控除の採用等で
子育て等に配慮して
中低所得者世帯の負担の軽減
を図る。

●消費税については、
税率をアップするとともに、
低所得者への配慮として
複数税率にする。

●資産税については、
相続税の課税ベースを広げ
納税者を増やす方向で検討する。

●法人税については、
実効税率の引下げをするが、
税収減にならないように
課税ベースを拡大する。


民主党に政権交代したら

昨年12月24日公表された
民主党の
「税制抜本改革アクションプログラム」
が実現するとなると、
次のようになります。


●個人所得税の
最高税率引上げはしない。
所得再分配機能の強化のために、
所得控除を廃止し
「給付付き税額控除」
に切り替え、
低所得者への生活支援を行う。

給与所得控除には
一定の上限額を設ける。

●消費税の「複数税率」は
「消費税の物品税化」になり、
課税ベースの侵食を招き、
消費税の水平的な公平性を損なう。
最低限の生活にかかる消費税については
実質的に免除する
「給付付き消費税額控除」
を導入する。

●相続税については、
米国と同じ「遺産課税方式」へ
転換すべきである。
相続人が
資産等を得た時点で課税するのではなく、
遺産そのものに課税すること
が適切である。

●法人税については、
租税特別措置の抜本的な見直しをして
課税ベースを拡大しつつ、
法人税率を見直し、
研究開発の促進などは
時限措置から恒久措置へと
転換していく。


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税理士西塚事務所   TEL03-6226-5140

2009年5月18日(月)
posted by 税理士西塚智裕 at 13:48| Comment(0) | TrackBack(0) | その他税金

2009年05月15日

給付つき税額控除

同じ所得控除でも

所得控除等の
課税所得を減ずる制度は
累進課税の下では、
同じ減額幅でも、
高所得者ほど
税額の減額効果が大きくなり、
そういう恩恵の効果は
高所得者ほど
有利になっています。

垂直的公平観からすると、
不公平ということになります。


■高所得者ほど控除も大きい

給与所得控除の場合は、
課税所得の圧縮が定額ではなく、
所得比例的に大きくなるので、
高収入者に一層有利に作用します。

所得額を操作するような税制度は、
その制度の趣旨に反して、
高所得者優遇の結果になるので、
所得の多寡に
関連させないような
単純公平な制度にするには、
税額控除が
その要求に最も沿うものと言えます。

特に、
「給付つき税額控除」ならば、
年税額が控除額より小さくても、
控除不足額は給付されるので、
制度趣旨が
損なわれることがありません。


■給付つき勤労税額控除の提案

「給付つき税額控除」
については、
最近3/19の日経新聞の
「大機小機」欄に
目新しい提案がありました。

正規雇用者の
ワークシェアリングも視野
に入れた本格的な雇用政策として、
勤労税額控除を
導入すべきとしています。

所得税・住民税から
控除し切れなかったら、
控除不足分は給付
されるというものです。

具体的には、
100万円超300万円までの給与収入
に対し15%の税額控除を認める
というもので、
100万円程度の収入で満足しないで
300万円ぐらいまでは
頑張って働こうとの気持ちにさせる、
勤労へのインセンティブ効果
を期待するものです。


■給与所得控除の原則廃止

100万円超の給与への税額控除
ということになれば、
65万円を超える部分の給与所得控除とは
制度重複になりますから、
給与所得控除は65万円の
定額制に置き換わるべき、
ということになります。

こうなると、
高収入者の受けていた恩恵が
低所得者に流れるので、
所得再配分機能が
制度に組み込まれ、
垂直的公平の実現に
功を奏することになるとともに、
制度改正実現の財源捻出
もできてしまいます。


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2009年5月15日(金)
posted by 税理士西塚智裕 at 13:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 所得税

2009年05月14日

欠損金の繰戻還付〜法人税

平成21年2月1日以後終了事業年度から、
中小法人等について
「法人税の欠損金の繰戻還付制度」が
全面的に復活したことは、
以前にも紹介した通りです。

今回は、
もう少し詳しく
内容を見ていきたいと思います。


■欠損金の繰戻還付とは

青色申告書を提出する
中小法人等で、

前事業年度が「黒字」
で法人税を納めた法人

が、
今事業年度は「赤字」となり

欠損金が生じた場合、

この欠損金を
前期の黒字と相殺し、
前期に納付した法人税のうち、
納めすぎとなった部分の金額を
還付請求できるという
制度です。

計算式は次のようになります。

繰戻還付金額=

前事業年度の法人税額
×
欠損事業年度の欠損金額/前事業年度の所得金額


適用要件は

還付を受けるようとする事業年度から
欠損金が生じた事業年度まで
連続して青色申告書を提出し、

欠損事業年度の青色申告書は

期限内に提出
しなければなりません。


■請求書の提出が必要

欠損金の繰戻還付
を受ける場合には、

「欠損金の繰戻しによる還付請求書」
に必要事項を記載して、
欠損事業年度の確定申告書と同時に
所轄税務署長に提出
する必要があります。

法人税の申告書を提出しただけでは、
還付は受けられません。


■地方税には制度なし

地方税には、
欠損金の繰戻還付制度はありません。
欠損金の繰越控除のみです。

したがって、
この制度の適用を受けた場合、
翌期以降、
法人税は納税になっても、
法人住民税の
法人税割と法人事業税は
納税なしとなる場合があります。


■税務調査が必須?

還付請求書が提出された場合、
税務署長は
税務調査を実施すること
とされています。

通常の法人税調査よりも
簡易な調査になる
と言われていますが、
中小企業経営者の
心理的圧迫感は相当なものです。

くれぐれも、
中小企業いじめにならないよう、
誠実なるところを確認できたら
すんなり還付してほしいものです。

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2009年5月14日(木)

posted by 税理士西塚智裕 at 13:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 法人税・会社経理

2009年05月13日

税制改正〜不利益不遡及の原則

■不利益不遡及の
 税法原則への抵触3法

税法の遡及適用は可なれど、
課税免除や緩和や繰延といった
納税者有利規定に限られ、
税負担が過重になる不利益規定
に関しては
立法無効とされます。

昨年のネジレ国会で
予算関連税法は
3月中に成立せず、
4月末日に成立し、
日切れ失効期間の
4月初日に遡及されること
になりました。

しかし、
不利益規定であるため、
不遡及原則に抵触する
こととなる規定が3つありました。


■使途秘匿金への40%追加課税

その1つが
使途秘匿金課税規定で、
日切れ失効期間内に支出した
使途秘匿金について
課税するとの規定は
無効なので、
法律公布と同時に
その無効を確認する政令も
公布されました。


■欠損金の繰戻還付中止規定

2つ目が、
欠損金の前年への繰戻しによる
税金の還付規定が
法律にあるのに、
それの中止規定を
別途作っていたものが
日切れ失効になったと
いうものです。
4月30日公布の新法では
4月初日に遡及して
繰戻還付を中止する
となっていますが、
不利益規定ですから
公布前期間への遡及部分は
無効です。
これについても、
同時公布の政令に、
この失効期間内に決算日を迎えて
確定した欠損金については
繰戻還付請求可
との確認規定が置かれました。


■交際費の損金不算入の日切れ規定

問題は
3つ目の交際費の規定です。

日切れ失効期間に開始した事業年度の
決算日がこの3月末日です。
交際費に関しての
確認規定は政令にありません。

法律の解釈はどうあるべきか
悩むところです。

いくつかの解釈例が考えられます。

@
新法公布前の日切れ期間
に支出した交際費は
損金不算入規定の対象外になる。

A
新法公布前の日切れ期間
に開始したこの3月決算期間の
交際費の全額は
損金不算入規定の対象外である。

B
交際費の額の確定する
3月末日時点での適用法律
で判定するので
全1年間の支出交際費が
交際費課税の対象となる。


■裁判で争うことになるのかも

課税当局は
説得力のある解説のもとに
見解を示そうとしていませんが
上記のBの立場のようです。
しかし、
公布が1年近く遅れたとしても、
遡及適用可かと問えば
Bはおおいに疑問になるところで、
最終決着は司法の判断と
言うことかもしれません。



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2009年5月13日(水)
 
posted by 税理士西塚智裕 at 12:44| Comment(0) | TrackBack(0) | その他税金

2009年05月12日

試用期間とは

昨年来の不況の影響を受け、
業績の悪化した企業による
新卒者の内定取消しが問題とされ、
企業名も公表されています。

内定取消しをしなかった企業でも、
試用期間の満了による
本採用拒否を
検討せざるを得ない企業が
あるかもしれません。


■ 試用期間とは


従業員を採用するに当たり、
履歴書や面接等だけでは、
その資質や適格性について
十分に判断できないため、
後日の調査や観察による
最終決定を留保する趣旨
で設けられているものです。

判例によると、
試用期間とは
解約権留保付雇用契約とされ、
当初から
期間の定めのない通常の雇用契約
が締結されているが、
試用期間中は
使用者に労働者の不適格を理由とする
解約権が留保されている、
とされています。


■本採用を拒否できる場合とは?

採用決定後における調査や
試用中の勤務状態により、
当初知ることができず、
また知ることが
期待できなかったような事実
を知ったことにより、
その者を
引き続き雇用するのが適当でない
と判断する
客観的に合理的な理由が存在し、
それが社会通念上相当である
と認められる場合です。

例えば、
重大な経歴詐称、
出勤率不良、
無断欠勤が多い、
勤務態度が悪く、
上司から指導を受けても
改善されない、
協調性を欠き従業員としての
適格性を欠く
等が
拒否できる正当な事由
とされています。

なお、
企業は従業員に対し
教育・研修を行う立場にあるため、
まずは注意・指導する
必要があります。


■業績悪化を理由に本採用を拒否できる?

急激な業績悪化を理由に
本採用を拒否できるかどうかは、
正社員の場合と同様に
「整理解雇の法理」
に照らして判断されます。

@人員削減の必要性、
A解雇回避義務、
B解雇基準・選定の合理性、
C手続きの妥当性、

が整理解雇の四要件です。

解雇する場合は
30日前に予告するか
解雇予告手当を支給する
ことになりますが、

試用期間開始後
14日以内に解雇した場合は、
支払う必要はありません。

法律は
会社を守ってくれません。

会社を守り、
最終的に従業員を守るのは
社長です。

事前に法律を知り、
先手を打つことで
トラブルを回避できる
こともあるのです。 


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2009年5月12日(火)

posted by 税理士西塚智裕 at 12:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 労務・労働

2009年05月11日

特定口座

特別口座からは売却不可


株券の電子化に伴い
信託銀行等に
「特別口座」
が開設されました。

これは
タンス株券や
単元未満株などを
所有する人に開設される
口座です。

特別口座でも
株主の権利は守られますが、
特別口座内に保有される
株式を売却する場合には
証券会社等の口座への
振替が必要になります。


■ 3種類の口座

上場株式を預け入れる
証券会社等の口座は、

@取得価額管理機能、

A譲渡損益計算機能、

B納税代行機能

のどれを担っているかの相違
により、

3種類あると言えます。

@ABの全部を具備しているので、
損益の計算をして
納税も代行してくれるのが

「源泉徴収ありの特定口座」で、

申告をしなくても
原則として
納税額に影響ないので
申告を省略できる特典が
付いています。

@Aを具備しているので、
損益計算だけしてくれて、
申告納税は
投資家本人がするのが

「源泉徴収なしの特定口座」です。

@だけを具備しているので、
投資家が自分で
損益を計算して
申告納税をするのが

「一般口座」です。


■本年5月末という期間制限

特定口座の開設や
特定口座での
上場株式の取得には
期限制限がありませんが、

一般口座で保有されている上場株式、
公募株式投資信託、
特別口座で保有される株式、
タンス株券などの
特定口座への預け入れは、

平成21年5月末までに行う必要があります。

平成16年末で終了した、
いわゆるタンス株の
特定口座への預け入れが、
みなし取得費の廃止と
実際取得費でとの限定のもと、
平成17年4月1日から再開され、
平成21年5月31日まで
可能とされていたことによるものです。


■「源泉徴収あり特定口座」の有利性

今年から
上場株式の配当や
株式投信の分配金などを、
上場株式や株式投信などの
譲渡損失と確定申告の手続の上で
通算できるようになっています。

さらに来年からは
配当や分配金を
源泉徴収ありの特定口座
で受け入れて、
口座内で生じた譲渡損失と
自動的に通算
できるようになります。

当面売却の予定がなくても、
なるべく早く

源泉徴収ありの特定口座

の開設を
検討した方がよさそうです。

※ 参考

■期間制限のないものもある

「従業員持株会、相続・贈与での取得、
上場前に取得した新規上場株式」等
で一定の条件を満たすものは、
平成21年6月1日以後でも可。

■銀行の特定口座

銀行でも
特定口座の扱いが始まっていますが、
証券会社ほど、切り換えが進んでいません。

■特定口座の別の特典

特定口座で保管されていた株式が
無価値化した場合には、
みなし譲渡損失の特例
があります。
特定口座
において保管されていた株式が、
上場株式等に該当しない
こととなった日以後、
引き続き保管の委託がされていて、
会社解散清算結了などにより
株式としての価値を
完全に失うことになったときは、
その株式を
対価ゼロで譲渡したものとみなして、
株式分離譲渡所得の計算や
特定口座制度の特例を適用する
ことができます。


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2009年5月11日(月)
posted by 税理士西塚智裕 at 12:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 所得税

2009年05月08日

エコカー減税 〜 自動車税の特例

■即効性ある減税策

政策減税の目玉の一つの
住宅ローン減税の目玉部分が
後ろ倒しなのに比し、
自動車をめぐる
政策減税の目玉部分は
1回限りの減税なので、
前倒しそのもので、
即効性がありそうです。


■自動車税制の減税策の趣旨

最近の厳しい経済状況の中で
自動車の販売台数が
急速に落ち込んでおり、

景気対策の観点から、
自動車の購入や
買換えを促すような施策
であるとともに、
排出ガス及び燃費性能に優れた
環境にやさしい自動車の普及と
技術開発促進を促すことにより
環境技術立国も
視野に入れているものです。


■減税策の概要

景気対策と
環境対策とを両立させるものとして、
本年4月1日より3年間、

(1)
国税である
自動車重量税については
この3年間のうちに
初めて受ける車検時に、

(2)
都道府県税である
自動車取得税については
新車取得時に、

それぞれ

環境性能に優れた自動車
に対して税の減免をします。

乗用車について
大雑把にいうと、

次世代自動車は免税、

排気ガスがきれいで
ガソリン消費量が少ない
(=二酸化炭素排出量が少ない)
乗用車は75%又は50%の税額軽減
が行われます。


■クルマ選びの参考に

車両価格200万円、
車体重量1.3トンの
環境性能に優良な新車
の購入の場合を例
にとって試算してみます。

(1)
電気自動車、
一定条件を満たす
ハイブリッド自動車・天然ガス自動車、
クリーンディーゼル車等
(いわゆる次世代自動車)

⇒ 本来の税額をすべて免除

納税額は0円で、
一般の自動車に比べ
14万6700円の減税となります。

(2)
平成17年排出ガス基準比
75%低減を達成し
(いわゆる☆☆☆☆認定車)、
平成22年度燃費基準を
25%超過達成している乗用車

⇒ 本来の税額の75%を軽減

納税額は3万6600円で、
一般の自動車に比べ
11万100円の減税となります。

(3)
平成17年排出ガス基準比
75%低減を達成し
(いわゆる☆☆☆☆認定車)、
平成22年度燃費基準を
15%超過達成している乗用車

⇒ 本来の税額の50%を軽減

納税額は7万3300円で、
一般の自動車に比べ
7万3400円の減税となります。


※ 参考

環境性能に優れた自動車
に対する自動車重量税・
自動車取得税の特例措置
国土交通省HP



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2009年5月8日(金)



posted by 税理士西塚智裕 at 11:56| Comment(0) | TrackBack(1) | 所得税

2009年05月01日

住宅ローン控除の効果

昨20年の3倍以上


本年平成21年度税制改正の
目玉の中心は
住宅ローン減税
(住宅借入金等を有する場合の
所得税額の特別控除)
と言われています。

平成21、22年に
取得住宅に入居する場合、
10年間に
一般住宅で
最大500万円の税額を
所得税・住民税から
差し引くことができます。

平成20年に住宅取得した人の
減税の最大控除可能額が
160万円だったことと比べると
大盤振る舞い振りがわかります。


有り難味は後で感じてね

ところで、
この大盤振る舞いの減税効果ですが、
夫婦二人でそれぞれ
2000万円づつの住宅ローンを
20年返済金利3%で組んだ場合、
年初取得年内入居だったら、
当初6年間の減税額計は、
平成20年取得入居と
21年取得入居共に207万円で
変わりありません。

最後の4年間分の計には差があり、
平成20年での取得入居では52万円、
21年では103万円です。

即効性を期待する政策減税としては、
効果は資金的にひっ迫する
取得時に前倒しして
発現するようにすべきで、
このようにダラダラと
後ろ倒しにしたのでは、
有難味が実感しにくく
なってしまいます。


住民税の住宅ローン控除の復活

所得税から控除
しきれなかった分について
翌年分の個人住民税から控除
(上限9.75万円)する制度は、

平成18年以前居住開始者についてのみ
適用できるもので、

平成19年以後居住開始者には
適用拒絶となっていましたが、
平成21年以後居住開始者に
再び適用可能となりました。

制度改正の経過からすれば
当然(19、20年居住開始者のみ気の毒)
とはいえ
前倒し効果のある朗報です。


大盤振る舞いの恩恵を受けられる人

ところで、
10年間合計の減税額が
最大控除額の500万円に達するケースは、
当初の借入金を
20年ローンで8800万円、
25年ローンで7300万円も
している場合です。

最近の
不動産価格高騰時の2007年に、
リクルートが
「首都圏新築一戸建て、
マンション契約者動向調査」をした
レポートによると、

平均借入額は概ね3000万円で、
5000万円を超える借入をする
住宅購入者の割合は
5%前後に過ぎません。

7000万円、8000万円も
借入する人など滅多にいません。

したがって、
総額500万円もの控除
を受けられる購入者は
きわめて少数で、
多数の人が
実際に受けられる恩恵に
あまり変化はないといえます。


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2009年5月7日(木)


posted by 税理士西塚智裕 at 17:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 所得税

2度課税が起きる場合

ストックオプションという
無償取得の場合

1円ストックオプションなどで、
株式を取得したときは、
取得時に時価課税され、

(借)有価証券〇〇〇/(貸)給与収入〇〇〇

として、
給与課税されるとともに、
その金額が
有価証券の取得価額
となります。

同時に売却した場合、
譲渡益はゼロなので
2度課税はありません。


広告資産の無償取得の場合

広告宣伝用の資産として
車両などを受贈されたときは、
取得時に時価課税され、

(借)車両〇〇〇〇/(貸)事業収入〇〇〇〇

取得車両は
減価償却の対象になる
とともに、
譲渡するときは、
その未償却残額は
譲渡収入から控除され、
重複して
利益に課税されることは
ありません。


取得時効という無償取得の場合

測量により
隣家敷地の
長期占有が判明したことに際し、
取得時効を主張して
自己のものとしたときは
一時所得に該当する
との解説があります。

その取得時効部分の
土地の時価が
1千万円だったら
その価額で課税されます。

(借)土地〇〇〇/(貸)一時所得収入〇〇〇

次に
その部分を同年中に
1千万円で売却したら
再び1千万円の譲渡所得
が計算され、
2度課税が起きます。
この場合、なぜか、
時価課税された金額が
取得価額になるとの規定が
ないからです。

遺失物の取得や
無主物、埋蔵物、景品等
の取得についても
同じ現象がおきます。


相続・贈与という無償取得の場合

相続や贈与で
先祖伝来の土地を
無償で取得した後に
売却した場合、
相続や贈与で
時価課税の洗礼を受けていたとしても、
相続や贈与で認識された時価は
売却時の原価とはならず、
原則として、
先祖伝来の
土地の継続所有者として
再び時価課税され、
2度課税となってしまいます。


2度課税への疑問

昭和の時代には
所得税と住民税の最高合計税率が
90%で、

相続税贈与税の最高税率が
70%
ということがありましたから、
限界事例でみると、
所得税の2度課税、
所得税と相続税の2度課税が
されることにより、
無償取得財産の価額より
多くの税負担を負う
ことになってしまいました。
今は、
それぞれ
50%にまで下がっていて、
そういう悲惨さは
大分緩和されましたが、
税の理屈からいって、
2度課税はもともと
あってはいけないのではないか
と思います。


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2009年5月1日(金)


posted by 税理士西塚智裕 at 16:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 所得税
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