2009年10月30日

損益分岐点分析で事業計画

メッキ技術開発を手掛ける
社員80名のZ社は
技術を伸ばすために、かねて
技術開発で関係を持っている
大学の先生に声をかけて
学生を集める一方、
60歳を超える高齢者の技術を大切にして、
コア技術を支える人材確保に努めています
が、同時に社会保険料負担
を回避できる労働条件で
短時間勤務制やペア勤務制を取り入れて、
人材確保と人件費の低減を
併せて実現しています。

ここでは、
「固定費の抑制に効果がある
人件費の変動費化・短時間勤務制や
ペア勤務制」に
注目しましょう。


損益分岐点売上高

経営にとって「黒字」と
「赤字」との分かれ目・採算ライン
・損益トントンになる売上高
を知ることが大切で、
それを知るための分析が
「損益分岐点分析」です。

自社の費用を
@ 変動費
(売上高によって比例的に変動する
材料費や仕入れ原価など)

A 固定費
(短期間では売上高の増減と
関係なく発生する減価償却費・
家賃・正社員の人件費などの費用)
に分けて、
枠内の算式で計算します。


■損益分岐点分析を経営計画で活用

損益分岐点を下げることによって、
儲かる体質づくりができますが、
その重要な対策の一つが
「固定費の変動費化」で、
その他の対策も含めて
計画的に取り組むため、
この分析を経営計画で
活用したいものです

損益分岐点売上高(円)=
固定費/(1―変動費/売上高)
=(売上高―材料費―外注費―経常利益)/
{1−(材料費+外注費)/売上高}←【製造業。建設業】
=(売上高―売上原価―経常利益)/
(1-売上原価/売上高)←【非製造業】


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2009年10月30日(金)







posted by 税理士西塚智裕 at 17:20| Comment(4) | TrackBack(0) | 経営・その他

2009年10月29日

雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金

新型インフルエンザの
ピーク時企業対策

ある新聞記事によれば、
企業で新型インフルエンザ流行時に
事業を継続していかれるような
事業継続計画を立てている企業は
9%程度という調査結果が出ています。
新型インフルエンザは
今後暫くは続くとみられ、
持病のある方や高齢者、妊婦、
子供等には配慮する必要があるものの、
企業は流行時期に合わせた
柔軟な対応が求められているようです。
欠勤が一定以上の人数になった時は
在宅勤務、交替勤務、応援人員の
やりくり等も必要ですが、
もともと中小企業では
人員の余裕はあまりないので、
いざという時には拡大しないように
手を打つぐらいとなるかもしれません。


助成金の対象となることも

一方で、このような状況下で
新型インフルエンザで売り上げが減少し、
社員を休業させた時には、
「雇用調整助成金」及び
「中小企業緊急雇用安定助成金」が
「インフルエンザの発生及び感染拡大
に伴う特例」として、
対象となる制度の改正がありました。

もともと、「雇用調整助成金」とは
景気の変動、産業構造の変化等に伴う
経済上の理由により
事業活動の縮小を余儀なくされ、
休業や教育訓練又は出向を行った事業主
に対して、
休業手当、賃金又は出向労働者に係る
賃金負担額の一部を助成するものです。
さらに最近の改正で
新型インフルエンザの対応の緊急性をふまえ、
本年7月31日迄に初回の計画届を提出し
雇用維持をしている事業主については、
国内発生が確認された
今年5月16日までさかのぼって、
支給申請ができるようになりました。
生産量要件も緩和され
「生産指標の直近3カ月の月平均値が
その直前3カ月又は前年同期に比べ
5%以上減少している事業所の事業主」の
「3カ月」要件は「1ヵ月」に
緩和されています。

対象は
「新型インフルエンザの影響による
客数や受注量等の減少」を理由に
休業を行う事業所で、
計画書を
「新型インフルエンザ対応事業所の
事業活動の状況に関する申出書」
とともに都道府県労働局長に
提出しておきます。

支給申請は
判定基礎期間の末日から起算して
2カ月以内となっています

雇用調整助成金等における
新型インフルエンザの発生
及び感染拡大に伴う特例の創設
について(厚生労働省HP)


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2009年10月29日(木)
posted by 税理士西塚智裕 at 10:53| Comment(1) | TrackBack(0) | 労務・労働

2009年10月27日

居住用財産の売却〜3,000万円の特別控除と軽減税率

■居住用財産の譲渡

家を購入・売却したり、
または、リフォームしたりすると
何かと気になるのが
税金です。

特に、
自宅(土地と家屋)の売却ともなると
金額も中途半端な額ではなく、
一定の要件を満たさなければ、
税務上の恩典が受けられないといった
「税金の落とし穴」に陥ってしまう
こともあります。


(1)3,000万円の特別控除

通常、自宅を
一定の親族以外の者に売却すれば、
その自宅の所有期間にかかわらず、
「譲渡収入」から「取得費」を控除した
「譲渡益」からさらに
3,000万円の特別控除の適用が
受けられます。

計算例で示せば次の通りです。

@譲渡収入(売却代金)1億円 
A取得費5,000万円
であれば、
B譲渡益は@−Aで5,000万円です。
この譲渡益5,000万円から
特別控除3,000万円を控除した金額2,000万円が
所得税及び住民税の課税対象金額になります。


(2)申告分離課税と軽減税率の適用

確定申告は、
分離課税で税率20%
(所得税15%、住民税5%)ですが、
同じ自宅の売却でも
所有期間が10年超の場合、税率は
譲渡益6,000万円以下の部分14%
(所得税10%、住民税4%)、
6,000万円を超える部分は20%
(所得税15%、住民税5%)
です。

10年超の長期保有の自宅であれば、
上記計算例の譲渡益
(特別控除後)2,000万円のケースでは、
税額は280万円
(所得税200万円、住民税80万円)です。


(3)留守3年で不適用

本人が自宅に住んでいない、
又は
住むことを予定していない自宅
の売却の場合は、
税法上の「居住用財産」には
該当しませんので、
3,000万円の特別控除及び軽減税率の恩典は
享受できません。

特に、
高齢者の方が自宅を離れ
介護施設等に入居する場合、
施設によって生活の拠点が移った
と判断されることから、
終身利用権などを購入して
介護付有料老人ホームに入居、
その後、一定期間経過後に
自宅を売却するに至った場合などは
注意が必要です。

税法では、

「居住の用に供さなくなった日以後
3年を経過する日の属する年の12月31日まで」
に売却したときは、
3,000万円控除の恩典が受けられますし、
また、
「所有期間」が10年超であれば
軽減税率の適用も受けられます。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
居住用財産を売却した場合、
或いは、売却を検討している場合、
是非、税理士に相談下さい。
上記3,000万円の特別控除や、
買換えの特例、損益通産、繰越控除と
新規購入住宅の住宅ローン控除と
さまざまな特例等があります。
相続税や贈与税をも考慮すべきケース
もあります。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

マイホームを売ったときの特例

譲渡所得の特別控除の種類

長期譲渡所得の税額の計算


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2009年10月27日(火)








posted by 税理士西塚智裕 at 11:12| Comment(2) | TrackBack(0) | 所得税

2009年10月26日

端数処理〜給与計算の端数処理

社会保険料の端数計算は?
(賃金や労働時間)

賃金計算に生じる端数には、
残業時間や
遅刻・早退等労働時間に関する端数と、
賃金に関する端数、
社会保険料控除に関する端数が
あります。

最近は給与計算ソフトで自動計算
というところも多いでしょうから、
端数に関して意識する事も
少ないのでしょうが、
パソコンを使って計算をする時にも
専用ソフトを使わずにする場合は
端数処理について知っておくと
良いでしょう。


端数処理方法、それぞれの場合

@
1時間当りの賃金額及び割増賃金額
又は1ヵ月における割増賃金の総額に
1円未満の端数が生じた時は
50銭未満の端数は切捨て、
50銭以上は切上げて処理をします。

1ヵ月の賃金支払額に
100円未満の端数を生じた時は
50円未満の端数は切捨て、
50円以上は100円に切上げて処理する事や、
1ヵ月の支払額に
1,000円未満の端数がある時に、
翌月の賃金支払日に繰越して払う事は、
就業規則に規定があれば
可能です。

A
労働時間の端数処理は、
1ヵ月における時間外労働時間の合計に
1時間未満の端数がある時は、
30分未満は切捨て
それ以上を1時間に切上げることは
認められています。
但、
日々30分を切捨てる事は
できません。

B
遅刻、早退に対する賃金カットは
1回に30分未満の時、
30分とみなしてカットする事は、
就業規則に制裁として規定があれば
可能です。
但、
1日の減給は
平均賃金の1日分の半額を超え、
総額が一賃金支払期における
賃金の総額の10分の1
を超えないこと
となっています。

C
社会保険料(健保、厚年、雇用保険)の
被保険者負担分に1円未満の端数がある時は、
50銭以下の場合は切捨て、
50銭を超える時は1円に切上げて
計算します。
但、
事業主と特約がある時は
それに従います。

D
賞与に係る保険料のうち、
健康保険、厚生年金については、
賞与額から
1,000円未満の端数を切捨てた額に
保険料率を乗じます。
(但、健保年間540万円、
厚年150万円の上限が有ります。)

厚生労働省法令等データベースサービス


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2009年10月26日(月)

posted by 税理士西塚智裕 at 11:03| Comment(1) | TrackBack(1) | 労務・労働

2009年10月25日

繰延資産〜会計、会社法、税法

■繰延資産とは

繰延資産とは
貸借対照表には
本来実在する財産や負債
が表示されることが原則ですが、
信用経済が高度に発展し、
期間損益(原則1年間)
の重要性が増してきた為、
期間損益を正しく表示する為に考えられた
実在しない資産勘定です。
つまり、
支払った費用のなかで、
将来にわたって利益をもたらすと
考えられる部分の繰り延べとして
資産計上したものであり、
期間損益計算の都合上、
テクニカルに出来上がったものである。


■企業会計原則における定義

「繰延資産とは既に対価の支払が完了し
又は支払義務が確定し、これに対する
役務の提供受けたにもかかわらず、
その効果が将来に渡って発現するもの
と期待される費用を資産として繰り延べたもの
をいう。」

と定義されております。

要は

将来の期間に影響する特定の費用であって、
次期以後の期間に配分して処理するため、
経過的に貸借対照表の資産の部に記載された資産

をいいます。


■会計上の繰延資産

会計上の繰延資産は
会社法の改正を受けて、
原則限定列挙を廃止し、
会計慣行に従うとしていますが、
当面の措置として
以下の5つを上げています。

@
創立費:会社設立に要した費用

A
開業費:開業準備の為に要した費用

B
株式交付費:
新株又は新株予約権の発行の為に要した費用

C社債発行費:
社債の発行の為に要した費用

D開発費:
新技術、新資源の開発、新市場の開拓
に要した費用


■法人税法の繰延資産

法人税法も、
会社法の改正を受けて、
限定列挙を、
上記5つの繰延資産としましたが、
その他にも税法独自の繰延資産を
多々設 けています。


■税法の繰延資産は、
 会社法の繰延資産より
 範囲が広い

違いの原因は
目的が違うからです。

会社法は
株主利益の保護の為に、
費用の塊である繰延資産を
極力費用として処理すべき立場
にありますが、

税法は
税収確保の観点からの
公平な期間損益に
拘ります。

繰延資産とは
過去ログ 2008 年10 月3 日(金)
posted by 税理士西塚智裕 at 22:24| Comment(1) | TrackBack(0) | 法人税・会社経理

2009年10月24日

株式報酬型ストックオプション(1円オプション)

■役員退職慰労金廃止廃止の動き

6割が役員退職慰労金廃止、
日本経済新聞社が東証1 部に上場する
1578社(金融を除く)を対象に
調べたところによると、
役員退職慰労金の廃止をした企業は
8月末までの累計で909社に上った、
と2008年の9月14日朝刊1面トップ記事
にありました。

役員退職慰労金の算定方法が
必ずしも説得性のある明確さを
備えていないものが多いようで、
株主から批判が高まっているほか、
不祥事などで不払いになるリスクを
避けたい役員側の意向もあり、
この流れが加速されているようです。

■ストックオプション付与が代替策

この記事では、一方で
3分の1 の企業が
ストックオプション(株式購入権)
を導入するなど、
成果重視の業績連動報酬制度への移行
が進んでおり、
年功色の強かった日本企業の役員報酬が
様変わりしつつある
と報じています。

同様の記事が今年の1月7日にもあり、
そこでは、
役員退職慰労金ストックオプション
の導入企業は2007年末で
158社と書かれていますので、
10分の1 から3分の1 へと
3.3倍の増加ぶりです。


■1円ストックオプションが主流

ストックオプションの
権利行使時の払込価額を
1株1円と設定すると、
付与された者は
会社解散や上場廃止にでもならない限り、
権利行使による取得株式の売却により
必ず現金を手にできます。

業績貢献に応じて
定期的に新株引受権を付与して
累積しておき、
取締役を退任した時に
権利を行使できるようにする制度ならば、
長期に頑張って株価が上昇すれば
それに応じて収入が増える
ということにもなります。


■非適格なれど退職所得税制適格

1円ストックオプションは、
いわゆる税制適格には該当しませんが、
行使条件が
退職金の現物支給に類似する要件
を備えていれば
退職所得としての扱いとなり、
課税上有利です。
(通常の金銭等での退職金と同等)

なお、
新株予約権付与は登記事項で、
また、
会計処理的には、
権利付与時に給与費用の計上をする
のですが、
税務上これは無視され、
権利付与時の課税は
ありません。

ストックオプション型退職金

ストック・オプション報酬制度・研究(国税庁)

過去ログ 2008 年10 月15 日(水)
posted by 税理士西塚智裕 at 14:20| Comment(1) | TrackBack(0) | 法人税・会社経理

2009年10月23日

借家人の権利〜地主・借地人・借家人

■借地上の借家人の権利の不安定

借地上の建物の借家人は、
大家さんである借地人の
地代滞納などのため、
借地契約解除という場合に遭遇すると、
建物賃借人としての権利が
保護されないので、
地主さんから
即刻明渡し請求されることに
なりかねません。


■不動産評価でも同じ

この借家人の権利が
地主の権利に及んでいないということは
財産評価でも確認できます。

自用地価格の評価   100%
借地権割合      60%
借家権割合      30%

とした場合、

@
これが借地だったら

借地人権利価格    60%
地主の権利価格    40%

A
これが貸家用土地だったら

借家人の権利価格   18%
大家の権利価格    82%

B
これが借地上の貸家だったら

地主の権利価格    40%
借家人の権利価格   18%
借地人大家の権利価格 42%

と一般に評価されます。

これを分析すると

地代収受権・担保設定権をもつ
地主の権利価格は
常に土地時価の40%で、
家とその敷地を利用する借家人の権利価格は
常に土地時価の18%(60%×30%)です。

土地の利用者としての
借地人の権利価格<借地権価格>
は60%ですが、
借地人が土地利用形態を
自用から貸家にすると
土地利用権は
家賃収受権と
建物敷地利用権(60%=42%+18%)
とに分化してしまいます。


■地主の権利価格は不変

借家人の敷地利用権18%による侵食は、

地主  18%×40%= 7.2%
借地人 18%×60%=10.8%

というように
地主も借地人も
その影響をうけてもよさそうですが、
影響を受けるのは
大家である借地人の権利価格だけ
です。

借地上の建物賃借権により生ずる
借家人の敷地利用権は
借地人に対しては及ぶものの
土地所有者の地主には
及んでいないので、
それが評価の計算式に
反映していると言うことです。

土地家屋の評価

借地権の評価

貸宅地の評価

貸家建付地の評価

貸家建付借地権等の評価

借家権の評価


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2009年10月23日(金)
posted by 税理士西塚智裕 at 11:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 企業法務

2009年10月22日

借地契約の地代不払による 解除とテナントへの影響

■地主からの突然の明渡請求

店舗として
建物を賃借していたところ、
その敷地の地主から、突然、
建物所有者(借地人)が
地代を支払わなかったので
借地契約を解除する、
よって
店舗を明け渡せという通知が
来たとします。

この場合、
建物の借主は、
家賃を支払う等契約に
違反していないとしても、
建物所有者の事情で
明け渡しに応じなければ
ならないのでしょうか。


■地主の明渡請求は拒否できない

この問いに対する答えは、
残念ながら
その通りといわざるを得ません。

借地上の建物を賃借している場合、
借地契約が
賃料の不払のために解除されたときは、
建物の借主は
土地の所有者には
対抗できません。


■土地の所有権と建物の賃借権の性質

この結論は、
土地の所有権と
建物の賃借権の
権利の強さの違いが原因です。

所有権は、
民法上物権の典型とされ、
地主は借地人であろうと
誰であろうと、
自分が自由に使用収益する権利
を持っていることを主張できます。

これに対し、賃借権は、
民法上債権の一つとされ、
所有権のような物権と異なり、
賃貸借契約の当事者間でのみ
効力を生じます。

そのため、
借家人がいくら建物の賃借権を
主張しても、
借家契約に対して
第三者である地主には
建物の使用収益権を
主張できません。

よって、
借地契約が解除された場合は、
地主は、
建物所有者である借地人だけでなく、
借家人に対しても
建物の収去と土地の明渡しを
請求できます。
その結果、
借家人の建物の賃借権も、
借地権の消滅とともに
その存立の基礎を失い消滅します。


■その予防策とは? 

予防策としては、
土地と建物の所有者が
同じかどうかを登記簿で確認し、
もしも別々であれば、
建物所有者の経済的状況の把握に
努めるしかありません。
そして、
建物賃貸人が行方不明になり、
あるいは、
経済的状況が悪くなった場合には、
地主に地代の支払状況を確かめ、
不払いの際には
自ら代払いすることを
申し出る等の対策が
必要になります。


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2009年10月22日(木)
posted by 税理士西塚智裕 at 11:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 企業法務

2009年10月21日

現物配当の会計処理と税務

旧商法時代、
会社が現物での配当(現物配当)が
できるかどうか、
議論が分かれていました。

しかし、
会社法においては、
株主総会の特別決議
を経ることにより、
現物配当が
できるようになりました。
配当財産について
制限はありませんが、
配当を行なう株式会社の
株式、新株予約権、社債

配当財産として交付することは
できません。


(1)会計基準と現物配当

一方、会計基準でも、
会社法の規定を受け、
現物配当を行う場合は、
原則として
配当財産を時価で評価し、
帳簿価額との差額は、
配当の効力発生日に属する期の損益
として認識し、
配当財産の時価で
その他利益剰余金
又はその他資本剰余金を
減額することと定めました。

具体的に会計処理で示せば
次の通りです。

≪ 設例 ≫

甲社は、
定時株主総会で
配当原資を繰越利益剰余金とし、
有価証券
(帳簿価額500万円、時価600万円)を
株主に現物配当しました
(源泉徴収は無視する)。

@
株主総会の決議日の仕訳(単位:万円)
  
繰越利益剰余金600/未払配当金600

A
配当財産の分配時の仕訳(効力発生日)

未払配当金600/有価証券500
          譲渡益 100


(2)法人課税と現物配当

現物配当に関しては、
法人税法上
特段の措置を設けていませんが、
次のような理由から、
現物配当を行った法人は、
当該資産の含み損益を認識し、
配当を実施した日の事業年度の
課税所得の損金または益金を構成する
とする考えが支配的のようです。

@
金銭以外の資産を
剰余金の配当として交付する場合は、
交付会社にあっては、
法令に
当該資産の価額を
利益積立金額から減算する
と規定されている。

A
一方、
現物配当を受領した株主
においては、
当該剰余金の効力発生日における
当該資産の価額を
受取配当の額として認識する旨が
法令解釈通達で示されている。

B
現物交付の段階で
含み損益を認識しないと
永久に課税の機会を
失ってしまう。

しかし、
現物配当は、
法人が行う
「利益」または「剰余金の分配」で
資本等取引であり、
さらに、
明文規定がない以上、
損益を認識するとする見解には
疑問が残ります。

また、
消費税法における
課税資産の譲渡等に
該当するかどうか
検討の余地もありそうです。

資本取引と損益取引の両方を併せ持った
「混合取引」の存在を
認識することになるのでしょうか。

≪参考〜関連法令、補足事項≫

1.会社法454第4項

配当財産が
金銭以外の財産であるときは、
株式会社は、
株主総会の決議
(特別決議―会社法309条第2項10号)
によって・・・・・できる。

2.会社法454条第1項1号

配当財産の種類
(当該株式会社の株式等―
株式、社債及新株予約権
「会社法107条第2項二号ホ」―を除く)
及び・・・・・。 

3.会計基準適用指針第2号

10.配当財産が
金銭以外の財産である場合、
配当の効力発生日
(会社法第454条第1項第3号参照)
における配当財産の時価と
適正な帳簿価額との差額は、
配当の効力発生日の属する期の
損益として、配当財産の
種類等に応じた表示区分に計上し、
配当財産の時価をもって、
その他資本剰余金又は
その他利益剰余金
(繰越利益剰余金)を減額する。
ただし、以下の場合には、
配当の効力発生日における
配当財産の適正な帳簿価額をもって、
その他資本剰余金又はその他利益剰余金
(繰越利益剰余金)を減額する。

(1)分割型の会社分割(按分型)
(2)保有する子会社株式のすべて・・・・
(3)企業集団内の企業へ配当する場合
(4)市場価格がなく・・・公正な評価額を
   合理的に算定することが困難・・・・・

4.法人税法22条第5項

第2項又は第3項に規定する資本等取引とは、
・・・・法人が行う利益又は剰余金の分配
(・・・・・)をいう。

5.法人税政令9条7号(利益積立金の減額)

剰余金の配当(・・・)
若しくは利益の配当(・・・・)
剰余金の分配又は
資産の流動化に関する法律・・・・に
規定する金銭の分配の額として
株主等に交付する金銭の額
及び金銭以外の資産の価額の
合計額(・・・・・)。

6.法人税法基本通達3-1-7の5

(金銭以外の資産による配当等の額)

法人が
金銭以外の資産により
剰余金の配当
又は利益の分配を受ける場には、
法人税法第23条(受取配当等の益金不算入)
の規定の適用がある配当等の額は、
原則として、当該剰余金の
配当又は利益の配当の効力発生日
における当該金銭以外の資産の価額による
ことに留意する。

7.現物配当と消費税

基本的には、現物配当は、
株主が法人の株主の地位に基づいて
分配を受けるものであることから、
対価性のある資産の譲渡等の取引ではない。
したがって、現物配当による資産の交付は、
消費税法上、課税対象外と考えられる。

8.現物配当と源泉徴収

源泉徴収は無視できないので、
現実に現物配当の実施にあたっては、
現金配当との抱き合わせによるなど
の方法を検討する必要がある。


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税理士西塚事務所   TEL03-6226-5140

2009年10月21日(水)
posted by 税理士西塚智裕 at 18:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 法人税・会社経理

2009年10月20日

確定申告無料相談〜東京・中央区の税理士(会計事務所)

確定申告事前無料相談

当事務所は、
東京都中央区銀座に御座います。

お電話、メール等でのご相談だけでなく、
ご予約のうえ、ご来所でのご相談も
お気軽にどうぞ。

特別に作業時間を要する内容でなければ、
少なくとも、初回は無料です。

特に、このシーズンには、
個人事業者の方の確定申告の相談件数が
増えています。
12月の末で平成21年分の確定申告の計算が
締めとなります。
計算が締めとなる前の事前相談の方々です。

こうした事前相談は、原則無料で行っています。
確定申告のシーズンで、申告書の作成や記帳などで
当事務所の売上に結びつく割合は、
20%程度です。。
とはいえ、無料相談から2年以上経過してから、
「法人を設立することとなったので
お願いしまーす」と
ご依頼を頂いたケースもございます。

無料相談も何かの縁です。

お気軽に声をかけてください!!

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そのほか、
例えば、創業、起業をしようと考えている方!!
2年後に会社設立を計画している方!!
多少ぼんやりとした計画段階でも、
気軽に相談してください。

そんな無料相談でも、
何かしら役に立つはずです。
少しでも方向性がつけば、夢は近づきます。


或いは、
相続のいざこざでもOKです。

お気軽にどうぞ!!

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posted by 税理士西塚智裕 at 14:06| Comment(0) | TrackBack(1) | 税理士 東京

年金制度改革

公的年金制度、
新政権で変わるか


総選挙で政権交代した民主党政権は、
年金制度の抜本的改革を
進めようとしています。
マニフェストによると
年金制度の信頼を回復し、
わかりやすい年金制度をつくるとして、
納めた保険料に応じて年金額が決まる
「所得比例年金」をベースに、
低所得の人には消費税を財源に
満額で月7万円の「最低保障年金」を
支給するという案を提唱しています。


改革案と現行制度の違い

現行の年金制度は
国民年金が土台にあり、
その上に厚生年金、共済年金が
別々に存在し、
国民年金は定額保険料ですが
厚生年金や共済年金は所得比例の保険料
を納めています。

財源は保険料だけでなく、
国庫負担(税金)でも賄われています。

給付は
現行では保険料を40年払えば
基礎年金は満額で月6万6千円ですが、
受給権を得るには
原則25年以上の加入期間を必要とします。

民主党案では、
国民・厚生・共済を一元化し、
消費税を財源とした「最低保障年金」を創設、
すべての人が
月7万円以上の年金を受け取れるようにする。
さらに、
納付した保険料に連動した
「所得比例年金」を上乗せする
としています。
ただし、
所得比例年金を一定額以上受け取れる人は、
最低保障年金を減額する
こととしています。


問題解決には長期間必要

さらに
制度移行には、
保険料を納めてきた人と、
そうでない人達に
不公平のないよう設計する必要があるため、
全員に月7万円が実現するのは、
20年から40年先になる
と言われています。

未だ最低保障年金の対象範囲や
所得比例年金の水準等、
又、
財源の裏付けとなる消費税率の引上げ時期や
自営業者の所得捕捉の為
社会保険庁と国税庁を統合した「歳入庁」
の創設等も掲げられていて
現段階では不明な点が
多々あります。

民主党は2013年までに
制度の詳細を詰めるとしています。

当面の2年間は「消えた年金」問題解決に
集中的に取り組むとしていますが、
政権がどのように移ろうと、
年金制度は
長期的ビジョンの下に
行わなければならないものでしょうから、
信頼できる制度が望まれますね。

民主党の政権政策マニフェスト


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2009年10月20日(火)
posted by 税理士西塚智裕 at 13:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 労務・労働

2009年10月19日

債務超過とは?欠損金額とは?

1)債務超過とは、
一般的に、会社が保有する財産のすべてを処分しても、借金などの負債(債務)を完全には返済できない状態を言います。
この状態は、企業としての信用を損ない、事業継続に支障をきたす恐れがあります。
この債務超過の状態をバランスシートでイメージすると・・・

続きを読む

過去ログ 2008 年10 月22 日(水)
posted by 税理士西塚智裕 at 10:42| Comment(1) | TrackBack(0) | 法人税・会社経理

2009年10月16日

電子申請システム

電子申請の割合が低迷

平成21年9月18日会計検査院は
中央省庁の電子申請システムを巡り、
整備・運用経費が多額にもかかわらず、
全体の申請数に占める
電子申請の割合が10%以下
に低迷しているシステムが
10府省庁で計12あると発表した。
全体の申請に対して
電子申請を利用した割合が0・1%未満の
ワーストスリーの中に
「国税庁電子開示請求システム」
があるという。
そして、
ある新聞紙面から読みとれる
改善要求の中味は
「効果が十分見込めないシステムについては
停止などの抜本的な措置を取ることができるよう、
基準を明確に定める必要がある」とのことです。


利用率低迷の真の原因

電子申請システムは、
2001年に始まった国のIT戦略
(電子政府政策)の一環として位置づけられます。
「国税庁電子開示請求システム」にあっては、
電子申告制度を陰で支えるものであり、
全体の一部を切り放したシステムとして
論ずることの当否はともかく、
利用率の低さをもって
システムの停止の方向に向かうというのは
筋違いといわざるをえません。
システムの利用率の悪さが
そのニーズに起因すると考えるのは間違いで、
電子申請のほかに手書きの申請書や
添付書類が必要であるなど
使い勝手の悪さが主因であることは、
国税や地方税の電子申告システムで
骨身にしみていることでもあります。


システムの改善こそが改善

IT戦略、オンライン化は行政の効率化、
透明性に不可欠のものです。
改善の検討の矛先は専らシステムの在りよう、
作られ方に向けられるべきものです。
システムの悪さ、非効率をもって
その廃止に向かうのではなく、
システムそのものの改善を促すことが、
真の改善要求なのではないでしょうか。


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2009年10月19日(月)
posted by 税理士西塚智裕 at 11:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営・その他

2009年10月15日

トライアル雇用の奨励金

試行雇用奨励金
(トライアル雇用奨励金)

職業経験、技能、知識等から
就職が困難な特定の求職者(対象者)を
職安の紹介により
一定期間トライアル雇用し、
求人者と求職者の相互理解を促進する事で
雇用機会の創出を図る事を目的とした
助成金です。

トライアル雇用を終了しても
正規雇用を強制されるという事は
ありません。
企業は適性や業務遂行可能性等を
実際に見極めた上で
本採用するかどうかを決める事が
できます。
短期間
(原則3ヶ月ですが、1ヶ月や2ヶ月でも可)
雇用後に一人につき、
月額4万円が最大3ヶ月間
支給されます。

対象者は

○ア:45歳以上の中高年齢者
○イ:40歳未満の若年者等
○ウ:母子家庭の母等
○エ:季節労働者
○オ:障害者
○カ:日雇労働者
○キ:住所喪失不安定就労者
○ク:ホームレス
○ケ:中国残留邦人永住帰国者

となっています。

事業主は求人票を職安に提出し、
紹介された対象者の
トライアル雇用開始から2週間以内に
「トライアル雇用実施計画書」を
提出します。
又、
終了後から1ヶ月以内に
「トライアル雇用結果報告書
兼試行雇用奨励金支給申請書」を
提出します。



「若年者等正規雇用化特別奨励金」
(トライアル雇用活用型)

職安の紹介により、
雇用開始日現在の満年齢が
25歳以上40歳未満の者を
トライアル雇用し、
その後正規雇用した場合に
支給される助成金です。
トライアル雇用開始日の
前日から起算して過去1年間に
雇用保険の被保険者でなかった者を、
トライアル雇用後
引き続き6カ月以上
正規雇用した時に
支給されます。

支給額は
雇用期間の定めのない雇用を開始した日から
起算して6カ月を第一期、
1年6カ月の日までを第二期、
2年6カ月までを第三期とし、

中小企業の場合、
第一期は50万円、第二期が25万円、
第3期が25万円支給されます。
各々の対象期間の末日の
翌日から起算して1カ月以内に
支給申請を提出します。
この助成金は
平成24年3月までの暫定措置
とされています。

試行雇用(トライアル雇用)奨励金

若年者等正規雇用化特別奨励金


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2009年10月16日(金)
posted by 税理士西塚智裕 at 15:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 労務・労働

2009年10月14日

給与所得と事業所得の違い

■給与収入を生む役務提供契約

役務提供契約としては
雇用・請負・委任・寄託などが
民法上の類型とされています。

この中で、まず
給与所得とされるのは、
雇用契約による対価の収入です。

そして、
企業の役員が
会社と締結する委任契約により受け取る
役員報酬も給与所得です。

同じ委任契約でも
弁護士や税理士が結ぶ
企業との顧問契約による報酬は
事業所得です。


■給与となりそうで給与でないもの

給与所得と
それ以外の所得との相違は
特定の相手に専属して
役務の提供をすることに
ありそうです。

しかし、
プロスポーツ選手、
外交員、
集金人、
ホステス等
については
一定の専属する役務提供先
から受ける報酬であったとしても
給与所得ではなく
事業所得となります。


■こんな人たちも給与所得

プロスポーツ選手
などが提供する役務には
「労務の従属性」が希薄だ
ということなのかもしれません。

そうだとすると、
議会の議員や諮問委員会などの委員
あるいは学校医などには
従属性などありえないのですが、
その受ける報酬は給与所得
とされます。
総理大臣の受ける報酬も
給与所得です。

構成メンバーとしての
従属的にではなく、
組織の活動を内部的に支えるための
役務の提供をしている会社の
役員の場合の延長で、
議員や委員の報酬の給与所得性は
考えるべきなのでしょう。

組織について管理する側から
組織の構成メンバーとして
役務の提供をするときの対価は
給与所得となるということでしょう。

それに対して、
国や自治体や所属会から受ける、
弁護士の法律相談や
税理士の税務相談の報酬は
構成メンバーとしての固有の活動ではなく、
外部委任契約なので
事業所得となります。

なお、
学校医報酬の給与所得扱いだけは
医師への特例なのか、
説明が困難です。


■雇用契約でも事業又は雑所得?

またこれらとは逆に、
雇用契約の場合でも、
テレワーカーや在宅勤務での
役務の提供ということになると、
場所的時間的拘束性からの解放とか
労働代替性の可能性とか
労働設備の自前化とかとなり、
必ずしも無条件に
給与所得者となるとは
限らないようです。

≪参考条文等≫

所得税法 第28条(給与所得)
 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。

所得税法基本通達
28−7(委員手当等)
 国又は地方公共団体の各種委員会(審議会、調査会、協議会等の名称のものを含む。)の委員に対する謝金、手当等の報酬は、原則として、給与等とする。ただし、当該委員会を設置した機関から他に支払われる給与等がなく、かつ、その委員会の委員として旅費その他の費用の弁償を受けない者に対して支給される当該謝金、手当等の報酬で、その年中の支給額が1万円以下であるものについては、課税しなくて差し支えない。この場合において、その支給額が1万円以下であるかどうかは、その所属する各種委員会ごとに判定するものとする。

183〜193共−6(非常勤の政府職員の給与等に対する税額の計算)
 一般職の職員の給与に関する法律第22条《非常勤職員の給与》に規定する常時勤務を要しない委員等に対する手当については、法第185条の規定により徴収税額を計算する。

204−2(報酬、料金等の性質を有するもの)
 法第204条第1項第1号、第2号及び第4号から第7号までに掲げる報酬、料金又は契約金の性質を有するものについては、たとえ謝礼、賞金、研究費、取材費、材料費、車賃、記念品代、酒こう料等の名義で支払うものであっても、同項の規定が適用されることに留意する。

204−3(報酬、料金等の性質を有する経済的利益)
 法第204条第1項第1号、第2号及び第4号から第7号までに掲げる報酬、料金又は契約金の性質を有する経済的利益(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をいう。以下この項において同じ。)については、次によるものとする。
 (1)職業野球の選手、外交員、集金人、ホステス等のように一定の者に専属して役務を提供する者がその役務の提供先から受ける経済的利益については、給与等とされる経済的利益の取扱いに準ずる。
 (2)(1)以外の経済的利益については、令第321条(金銭以外のもので支払われる賞金の価額)の規定に準じて評価し、その評価した金額が少額なものについては、源泉徴収をしなくて差し支えない。

204−4(報酬又は料金の支払者が負担する旅費)
 法第204条第1項第1号、第2号、第4号及び第5号に掲げる報酬又は料金の支払をする者が、これらの号に掲げる報酬又は料金の支払の基因となる役務を提供する者の当該役務を提供するために行う旅行、宿泊等の費用を負担する場合において、その費用として支出する金銭等が、当該役務を提供する者(同項第5号に規定する事業を営む個人を含む。)に対して交付されるものでなく、当該報酬又は料金の支払をする者から交通機関、ホテル、旅館等に直接支払われ、かつ、その金額がその費用として通常必要であると認められる範囲内のものであるときは、当該金銭等については、204−2及び204−3にかかわらず、源泉徴収をしなくて差し支えない。


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2009年10月14日(水)


posted by 税理士西塚智裕 at 19:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 所得税

2009年10月13日

1時間未満の残業時間の処理など

1時間未満の残業時間がある場合、
企業によって、
すべて切り捨て処理したり、
30分単位で端数は切り捨て、
など様々な対応を
されているのでは
ないでしょうか?

労働基準法24条に、
「賃金は、通貨で、直接労働者に、
その全額を支払わなければならない」
と規定されています。
したがって、
1分でも切り捨ててはならない、
ということになってしまいますが、
それでは事務が
煩雑になるだけです。

実は、
端数処理の方法については、通達で
細かく定められています。


■1時間未満の残業時間

1か月における時間外労働、
休日労働および深夜業の
それぞれの実際の時間数の合計に
1時間未満の端数がある場合、
30分未満の端数を切り捨て、
それ以上を1時間に切り上げて
計算することができます。

したがって、
1日毎に、
30分未満の端数を切り捨て、
それ以上を1時間に切り上げて、
その時間数を合計する処理は
違法となりますので、
注意が必要になります。


■賃金の端数処理

(1)
1時間当たりの賃金額の端数処理

1時間当たりの
賃金額および割り増し賃金額に
1円未満の端数が生じた場合、
50銭未満の端数を切り捨て、
それ以上を1円に切り上げる
ことができます。

また、
1か月における時間外労働、
休日労働、深夜業の
それぞれの割り増し賃金の総額に
1円未満の端数が生じた場合も
同様です。


(2)
1か月の支払額の端数処理

1か月の賃金支払額
(賃金の一部を控除して支払う場合は
控除した金額)に
100円未満の端数が生じた場合は、
50円未満の端数を切り捨て、
それ以上を100円に切り上げて
支払うことができます。

(3)
千円未満の端数の繰越処理

1か月の賃金支払額に生じた
千円未満の端数を
翌月の賃金支払日に
繰り越して支払うことが
できます。


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2009年10月13日(火)
posted by 税理士西塚智裕 at 11:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 労務・労働

2009年10月09日

年金加入記録漏れ

平成8年12月以前に
旧姓で年金加入の方

消えた年金記録、
いわゆる持ち主不明であった「5,000万件」
のうち、「500万件」を超える件数が
婚姻等により、氏名を変更した方々の記録
であるといわれています。
女性の場合、
多くは婚姻時に姓を変えており、
婚姻前に旧姓で勤務していた期間が
年金記録から抜けている場合が
あるようです。
年金特別便や定期便等が
自宅に送られてきた際には、
その期間に漏れがないか確認をして見ましょう。
昔加入していた期間1年分が見つかれば、
年2万円余りが増額されます。
以前は厚生年金番号と国民年金の被保険者番号が
異なっていたので、
結婚をして厚生年金から国民年金に加入した場合、
年金番号が変わったのでこのような問題も
起きたのです。
平成9年1月以降に初めて年金加入された方は、
基礎年金番号の導入により
年金記録は一元化されたので、
このような事態は減ってきています。


記録漏れ訂正で年金返納はせず

サラリーマンの妻の年金記録訂正による
もうひとつの問題点として、
厚生年金の加入記録漏れを訂正した際に
既に受け取った年金の返納を求められるケース
がありました。
妻が専業主婦から一時的に会社勤めをし、
退職して再び専業主婦となった時には
「第3号被保険者」の届出が必要でした。
しかし、届出漏れをしていた場合
「第3号被保険者」期間は未加入扱い
となります。
事後に届出も認められていますが、
年金受給額に反映されるのは
届出後であるため3号の届出漏れをしていた場合、
受給資格にも年金額にも反映されないので、
受け取った年金は払いすぎていたとして
返還を求められるケースもありました。
しかし、
厚労省は最近になってこのようなケースは
返還を求めないし、
既に返還した方には払い戻す事を発表しました。
対象となった方は、払戻しの申請を
しておきましょう。

妻の3号被保険者の届出は
手続き漏れが多いため、平成14年4月から
夫の健康保険の被扶養者となる手続きの際、
同時に届出る事となっていますので、
現在は届出漏れは少なくなっている事でしょう。


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2009年10月9日(金)
posted by 税理士西塚智裕 at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 労務・労働

2009年10月08日

偽り不正の行為〜時効、遡及期間

「偽り不正の行為」とは

偽り不正とは、
脱税の意思を持って
偽計
その他の工作
をして、
税の賦課徴収を不能
もしくは著しく困難ならしめる
過少申告や無申告をする行為で、
国税反則取締法に問われると
刑事罰として5年以下の懲役
若しくは500万円以下の罰金
に処せられます。


昭和56年改正と附帯決議

偽り不正の場合の条項は
国税通則法の立法時から存在
しているのですが、
昭和56年の改正で
偽り不正の場合の更正処分の期間制限や
国税債務の時効の期間が
5年から7年に延びました。

昭和56年に改正したのは、
ロッキード事件を契機として、
その裁判中のことで、
このような大事件をめぐる
世論への配慮があったからでした。
ただし、
衆参両議院大蔵委員会では
「更正、決定等の制限期間における調査
に当たっては、高額かつ悪質
な脱税者に重点を置き、
中小企業者を苦しめることのないよう
特段の配慮をする」旨の
附帯決議をしています。


3年、5年、7年

税務調査で
修正申告や更正処分がされる
通常の遡及期間は
所得税で3年以内、
法人税で5年以内です。
たとえ仮装隠蔽行為があり、
重加算税が課せられる場合でも
です。

所得税で5年に及ぶのは、
偽り不正が問われた場合に限られ、
さらに、
所得税・法人税とも7年に及ぶのは
その偽り不正の行為が
特に「高額かつ悪質な脱税者」
と言える時だけです。


5年の時効の壁

5年と7年との間には、
そのほかもう一つ、時効という壁
もあります。

納税債務は5年で時効
となります。
法律で、時効の利益は放棄できない
と定められていますので、
時効を無視した修正申告は
そもそも無効です。
修正申告ならいつでも
7年間遡及提出ができる
というわけではないのです。


立法の経過と趣旨を忘れまい

ロッキード事件から30年以上
も経ってしまうと、
その事件の衝撃が生み出した
重いペナルテイーが、
平時の事案に安易に拡張適用
される傾向にあります。
附帯決議に現れている立法趣旨を
心して忘れないように
したいものです。


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2009年10月8日(木)
posted by 税理士西塚智裕 at 17:53| Comment(0) | TrackBack(0) | その他税金

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2009年10月05日

非常勤役員の報酬

非常勤の親族役員への報酬は
幾らぐらいが妥当なのかと言う質問に
明確な回答はありませんが、
平成17年に
この金額につき国税不服審判所の
裁決が出ています。


■事案の概要

代表取締役であるAさんは、設立以来
母親を非常勤取締役としており、
月額300万円(年収3,600万円)
の報酬を計上し、
損金の額に算入していたところ、
税務署は、
取締役としての職務は
特に定まっていないことを理由として、
月額約15万円のみを
損金に算入すべきという処分を
下しました。

この月額約15万円というのは
同種の企業の非常勤役員報酬の
平均値です。

これに対しAさんは、
母親は事業の上でも
自分の良き相談役であるので
少なくとも他の従業員とおなじ
月額50万円が相当だとして
国税不服審判所に
処分の取り消しを訴えました。


■国税不服審判所の判断

この訴えに対し
国税不服審判所は税務署を支持し、
月額約15万円のみを
損金の額に算入するのが妥当である
とする判断を下しています。
「良き相談役」というのは
あくまで主観で客観性・具体性に
欠けるものであり、
何らの証拠書類もないこと
などがその理由です。


■名目役員と租税回避

推測ですがこの場合、
実態は名目役員であったと思われます。
また月額300万円の報酬は
社会通念上も逸脱した金額であり、
社長の所得を母親へ分散し、
所得税の軽減を意図した行為
であったのだと思われます。

月額15万円を多いと見るか、
少ないと見るかは考えようです。
この裁決を
「名義だけの親族役員にも、
月額15万円は認めても良い」
と解釈すると、
親族役員の場合、
儲かっていないときは只で仕事をし、
仕事が順調になったので
従業員をやとって
今は特に仕事をしていない場合や、
仕事はしていないが、
借入れの担保としての
土地を提供している場合や、
きちんと役員会には出席し、
会社の意思決定には
参加している場合などがあります。
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平17.12.19裁決、裁決事例集No.70

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2009年10月5日(月)

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2009年10月02日

都道府県別〜健康保険の料率

「協会けんぽ」都道府県別保険料率に改定


中小企業で働く従業員や
その家族を対象としている
政府管掌健康保険は
昨年の10月に設立された
「協会けんぽ」が運営しています。
設立より1年以内に
都道府県別の保険料率を決定する
とされていましたが、
今年の9月より
地域別の保険料率が決定し、
導入される事となりました。

従来の全国一律の保険料率では、
疾病予防等地域の取り組みで
医療費を下げても、
その地域の保険料率に反映されない
という問題点がありました。

今後は地域の取り組みで
医療費が下がれば
保険料率も下げることができる
仕組みとなります。


年齢構成の違いや所得水準の違いは調整

都道府県毎の保険料率については、
中高年齢層の割合が高い等
地域間の年齢構成の違いによる
医療費や所得水準の差が
そのまま保険料率に反映される
のではなく、
調整したうえで、保険料率を決定する事
となっています。
又、
平成25年9月までは、
都道府県間の保険料率の差を小さくする
激変緩和措置を行い、
平成21年度については
実際の保険料率と
全国平均の保険料率(8.2%)との差は
10分の1に調整されています。


9月からの保険料率(下記を労使で折半)

北海道 8.26% 滋賀県 8.18%
青森県 8.21% 京都府 8.19%
岩手県 8.18% 大阪府 8.22%
宮城県 8.19% 兵庫県 8.20%
秋田県 8.21% 奈良県 8.21%
山形県 8.18% 和歌山県 8.21%
福島県 8.20% 鳥取県 8.20%
茨城県 8.18% 島根県 8.21%
栃木県 8.18% 岡山県 8.22%
群馬県 8.17% 広島県 8.22%
埼玉県 8.17% 山口県 8.22%
千葉県 8.17% 徳島県 8.24%
東京都 8.18% 香川県 8.23%
神奈川県 8.19% 愛媛県 8.19%
新潟県 8.18% 高知県 8.21%
富山県 8.19% 福岡県 8.24%
石川県 8.21% 佐賀県 8.25%
福井県 8.20% 長崎県 8.22%
山梨県 8.17% 熊本県 8.23%
長野県 8.15% 大分県 8.23%
岐阜県 8.19% 宮崎県 8.20%
静岡県 8.17% 鹿児島県 8.22%
愛知県 8.19% 沖縄県 8.20%
三重県 8.19%

(全国健康保険協会hpより)

都道府県毎の保険料率への移行

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2009年10月2日(金)




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