2009年05月20日

欠損金の繰戻還付制度の欠点

今年の税制改正項目の一つに
中小企業の
欠損金の繰戻還付の復活
があります。

この適用には、
繰戻還付の請求をすると
税務調査があると言われていることや、
繰越控除との
有利不利の検討が必要です。


■還付請求ができる金額


         当期欠損金額
前期法人税額×―――――――――
         前期所得金額


この算式で
繰戻還付税額は計算されます。

前期の課税所得が800万円で
法人税額が176万円だったとして、
当期に欠損金が400万円生じた
としますと、

還付請求できる法人税額は、
次のように計算されます。

176万円×400万円÷800万円=88万円

結果、
88万円の法人税額が
還付請求できます。


■800万円超だったら

前期の課税所得が
1000万円だったとすると、
税額は次のようになります。

800万円×22%=176万円
200万円×30%= 60万円
     計 236万円

当期に欠損金が
400万円生じたとすると、

還付請求できる法人税額は、
次のように計算されます。

236万円×400万円÷1000万円=94.4万円

課税所得が
800万円の時に比べ、
税額が60万円も増えていたのに、
繰戻還付額は
6.4万円しか増えません。

前期の課税所得が

(1000万円−400万円)で
600万円だったとすると、

前期の本来の税額は、
(600万円×22%=132万円)
だったはずであり、
(236万円−132万円)ということで、
差引き104万円戻ってもよいはずです。

9.6万円も過少還付です。


■累進税率なのに平均法

前期と当期を通算して、
前期の黒字の税額を還付してくれる、
という制度を作りながら、
計算してみると、
還付額が少なくなります。

累進税率で課税しながら、
還付の段になると
平均法にしているからです。

所得税にも
同じ制度がありますが、

こちらは平均法を採らず、
欠損額控除後で
所得税の再計算をするので、
過少還付は生じません。
なぜか、
複数税率の適用を受ける
中小法人に対してだけ
こんな扱いをしています。


〒104-0061  東京都中央区銀座3-9-18 東銀座ビル304
税理士西塚事務所

2009年5月20日(水)

posted by 税理士西塚智裕 at 14:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 法人税・会社経理
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