2009年07月23日

通勤費をめぐる係争

■給与明細項目として通勤手当がない

通勤手当が
給与明細項目として
設定されていないけれども、
それを前提として
給与の総額が定まっている場合、
給与収入のうち
月々の定期券代相当分については
給与収入から外して、
通勤費補てん額として費用としての
通勤定期券代の相殺項目に振り替えて、
所得税の確定申告をすることは
認められるでしょうか。


■氾濫的に係争がおきている

派遣労働者の多くが、
収入項目に通勤手当のない
給与明細を受け取っており、
所得計算において
通勤費をどう扱うかが
社会問題となっています。

非課税扱い申告をして、
否認され、係争になっている事例が
報道されるようになってきました。


■形式論理の課税庁

課税庁は
修正申告を勧奨しているようですが、
納得しない申告者が
沢山出現しているようで、
国税不服審判所での
非公表審判事例が増えていそうです。

当局の主張は、
通勤手当が
通常の給与と区分して支給されていないので、
非課税に該当する所得はない、
とつれない内容です。

■審判所の苦悩

審判所は、当局の論理を是としつつ、
通勤手当が分別支給されていない
という理由だけで課税対象にするのは不当
という納税者の主張は、
法令自体の当否を訴えていることであり、
そういうことは
審判所の権限を超えている、
と裁判への誘導を促しています。


■法律をよく読むと

通常
給与と分別されている
通勤手当の非課税の法律規定には、
「(これに類するものを含む)」との注書き
があります。

公務員や正社員が優遇され、
非正規労働者が
冷酷なあしらいを受けることのないように
と配慮するとしたら、
この注書きを幅広く解釈することは
可能なはずです。


■通勤費訴訟のうごめき

通勤費訴訟が
サラリーマンの底辺を構成する
多数の派遣労働者により、
サラリーマン内部の矛盾の告発として、
起こされつつあります。
制度の矛盾と
日本社会の大企業正社員主義が
危機に瀕していることを
表象しています。
また、大岡裁きは可能でも、
雇用主側の通勤費負担の
制限強化等の社会反動になる
可能性もあります。
当局も予測しかねて
いるのかもしれません。

※ 参考(所得税法)

第9条(非課税所得)

次に掲げる所得については、
所得税を課さない。

◆5 給与所得を有する者
で通勤するもの
(以下この号において「通勤者」という。)
がその通勤に必要な交通機関の利用
又は交通用具の使用のため
に支出する費用に充てるものとして
通常の給与に加算して受ける通勤手当
(これに類するものを含む。)のうち、
一般の通勤者につき
通常必要であると認められる部分として
政令で定めるもの

※ 国税不服審判所 
平20.6.19、裁決事例集No.75



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2009年7月23日(木)
posted by 税理士西塚智裕 at 12:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 所得税
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