2010年03月05日

定期借家契約の「更新」?

■定期借家契約に「更新」はあり得ない

定期借家契約を結んだが、
借り手が賃料の支払もよく、
利用態様も問題がないので、
ずっと借りて欲しいという場合には、
契約を更新することが
できるのでしょうか。

そもそも、定期借家契約とは、
契約の更新がないことを特約した
建物の賃貸借契約ですので、
定期借家契約を更新することは
いわば概念矛盾となります。

したがって、
引き続き契約関係を継続しようとすれば、
定期借家契約が終了する際に、
当事者間の合意により
同一内容の定期借家契約を
結ぶことはできます。

これは、あくまで更新ではなく、
再契約ということになります。

そうである以上、
期間満了後に同一内容の定期借家契約を
締結するにあたっては、
契約の手続を一からやり直す
ことになります。

つまり、
契約の更新がない旨の書面による
事前説明を行い、
さらに契約期間が1年以上の場合には、
期間満了の都度、
期間満了による賃貸借契約の終了を通知する
必要があります。

これを怠ると、
定期借家契約は無効となり、
通常の借家契約として再契約したこととされ、
正当な理由がなければ
期間満了による契約の終了ができず、
自ずと立退料の支払いの問題も出てきます。


■再契約を予定する契約書における注意点

ところで、
実際の契約書には、
あからさまに
更新をしないことを示すことで生じる
空室や賃料下落のリスクを避けるべく、
契約書で再契約を予定する条項や
再契約事由(あるいは再契約拒否事由)
を設けるというパターンが見られます。

しかし、
契約の内容や運用の実質が、
定期借家契約から離れ、
通常の借家契約に近づくと、
当初目的としたはずの
定期借家契約としての効力が
生じない場合があります。

例えば、
契約書に記載の
再契約拒否事由に該当しない、
あるいは、
再契約事由に該当するのに
更新を拒否する場合には、
当然に再契約の効力が生じます。

そして、
再契約における
契約更新がない旨の事前説明がないので、
通常の借家契約となります。

そして、
再契約拒否事由が限定的に書かれており、
借り手に落ち度さえなければ
再契約に応じるような契約書
になっている場合には、
更新がない旨との事前説明と矛盾するため、
実質的には更新がない旨の説明がないのと
同様だとして、
定期借家契約は無効となり、
通常の借家契約が成立すると
解されることがあります。

※参考

1 定期建物賃貸借に関する条文(定期借家法。以下同じ)
第38条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4  第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない。
(略)
6  前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
2 通常の借家契約の終了についての条文
(建物賃貸借契約の更新等)
第26条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
2  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
3  (略)
(解約による建物賃貸借の終了)
第27条  建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。
2  前条第2項及び第3項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第28条  建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
(強行規定)
第30条  この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。



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2010年3月5日(金)
posted by 税理士西塚智裕 at 23:14| Comment(0) | TrackBack(1) | 企業法務
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賃貸更新料問題「無効なら家主破綻6割に」
Excerpt: 今日の住宅新報で「更新料問題 無効なら家主破綻6割に」という記事がデカデカと出ていた。タイトルを見て「6割も破綻するわけね〜だろ!」とツッコミながら新聞を読んだら、
Weblog: 堺市の賃貸不動産屋で働く、営業マンの日記
Tracked: 2010-03-29 21:03
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