2010年03月25日

使途不明金・使途秘匿金

(質問)

取引相手からリベートを要求され、
尚且つ
そのリベート相手を公表できません。
本来キッパリとお断りするのが正しい選択
だとは思いますが、
そうもいかないのです。
どうしたらよいのでしょうか?

(回答)

当然領収書はもらえないと思いますから、
支出した金額は、使途不明金となります。
科目としては交際費として
全額否認することが妥当と思われます。
しかし
現金で先方に渡さず、
必ず振り込むようにしてください。
現金で渡した場合
支出の事実が確認できませんから、
本当はそんな事実は無かったのではないか
と疑われます。

税務調査の折には、
支出の事実(振り込み控え)を
明確にしたうえで、
事情を説明してください。

どうしても相手が
現金でなければだめだ
と言う場合は、
役員への渡し切り交際費
すなわち役員賞与とすることが
妥当だと思われます。

役員への貸付とし、
後で役員報酬を上げて
一部返済に充てるという方法もありますが、
事実が明らかになった場合は、
使途秘匿金とされる可能性が
残ります。



使途不明金とは、法人が交際費・機密費・接待費等の名目で、支出した金銭でその使途が明らかでないもの、または法人が使途を明らかにしないものをいいます。
 一方、使途秘匿金とは、使途不明金のように金銭の支出のうち、相当な理由なく、相手方の氏名、名称等を帳簿書類に記載していないものをいいます。
 更に、使途不明金は全額損金に算入されず所得に課税されるのに対して、使途秘匿金は全額損金不算入となるだけでなく、通常の法人税に加え、支出額の40%の追加課税が行われます。

使途不明金は経費処理が前提です。これに対して、使途秘匿金は経費処理を前提にしておりません。この点から貸付処理は危険です。ただ使途秘匿金は本来の趣旨からすれば、「違法ないし不当な支出」に対する追加課税ですから、経費処理だけを持って使途秘匿金とされるわけではありません。


※参考

1.
使途秘匿金は、
租税特別措置法62条、
措置令38条に規定されています。
要約すると、内容は次の通りです。

(1)
赤字法人であっても、
使途秘匿金の支出があれば、
当該支出の40%の法人税が
課税されます(措置法62条1項)。

(2)
使途秘匿金の支出には、
金銭の支出のほか
贈与等目的のための
資産の引渡しも含まれます
(措置法62条2項、措置令38条4項)。

(3)
公益法人でも、
収益事業に関連した支出は
対象に含まれます(措置法62条4項)。

(4)
相手方の氏名等が
帳簿書類に記載されていないことについて、
「相当の理由」があるものは
使途秘匿金から除かれます。
例えば、
不特定多数の者からの小口の仕入等で、
相手方の氏名等を確認しないことが
取引慣行となっているものは、
相当の理由があるものと
取り扱われています
(措置法62条2項、3項)。

(5)
ダミーを使って使途秘匿金を支出する場合は、
記載したものとみなされません
(措置令38条3項)。

(6)
相手方の氏名等が
帳簿書類に記載されていない支出であっても、
「対価性」が明確な支出であれば、
使途秘匿金から除かれます
(措置法62条2項)。


2.
使途秘匿金は、
「法人がした金銭の支出のうち、
相当の理由がなく、
相手先の氏名等を当該法人の帳簿書類に
記載していないもの」
をいいますが、
この記載をしているかどうかの判定時期は
次の通りです。

(1)
原則として、
当該支出をした事業年度終了の日及び
中間の申告に係るみなし事業年度については
当該みなし事業年度終了の日の現況
によります(措置令38条1項)。

(2)
但し、当該支出した事業年度に係る
確定申告の提出期限及び中間申告書を提出する場合は
当該申告書の提出期限において
帳簿書類に記載されているときは、
事業年度終了等にその記載があったものと
みなされます(措置令38条2項1号)。


3.
帳簿等の記載時期の判定等から、
確定申告書の提出後、
税務調査を受けた時に
使途を明らかにして帳簿等に記載しても、
使途秘匿金であることに変わりはなく、
その支出に係る追加課税は行われます。
これに対して、
費途不明の交際費等には
このような判定時期の期限はありませんので、
税務調査で費途が明らかになったときは、
費途不明の交際費等としての損金不算入は
取り消されます。
但し、費途が明らかになっても、
措置法61条の4の規定による交際費等として
損金不算入になることが多いと
思われます。


4.
費途不明金の交際費等の意義については、
法人税法基本通達9−7−20に
規定されています。


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税理士西塚事務所   TEL03-6226-5140

2010年3月25日(木)
posted by 税理士西塚智裕 at 11:22| Comment(1) | TrackBack(1) | 法人税・会社経理
この記事へのコメント
関係法令が体系的に書かれており、非常に判りやすかったです。
Posted by 渡辺 忠夫 at 2011年10月17日 13:59
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