2010年05月21日

国税訴訟と裁判管轄

国税訴訟の被告は誰か

国税裁判の被告は
税務署長ではありません。
平成17年4月1日施行の
新行政事件訴訟法によると、
処分行政庁が
国の機関の場合には
被告はすべて国となります。

また、
「国の利害に係る訴訟についての
法務大臣の権限法」というのがあって、
国を相手にするときは、
すべて法務大臣が代理人
(実際は法務大臣が指名した者
=訟務検事ほかの公務員)
になることになっており、
被告代理人のところには5,6名の名前
が書かれます。

前記の施行日以後の判決をみると、
それまで「被告〇〇税務署長」
とされていた部分は
「被告 国」「上記代表者法務大臣〇〇〇〇」
「処分行政庁××税務署長△△△△」と
記されています。


■原則的な管轄裁判所は東京地裁

行政事件訴訟法は
被告所在地管轄裁判所を
原則的な訴訟提起裁判所と
規定しています。
従って、
被告は国なので、
全国で発生するすべての国税訴訟の訴訟提起先は
首都東京を管轄する
東京地方裁判所
ということになります。


■処分税務署を管轄する裁判所にも

しかし、
すべての税務訴訟が
東京地裁に限定されるということは、
地方の原告にとって
事実上裁判の途が閉ざされる
ということでもあるので、
当然ながら地元裁判所への提起も
可能とされています。

よって通常の場合は、
処分行政庁である××税務署所在の管轄地方裁判所が
原則的訴訟提起先となります。


■さらにもう一つ訴える先がある

前記の施行日以後のことですが、
管轄裁判所が拡大され、
被告側の管轄ではなく、
原告在住地を管轄する
高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも
訴訟提起できることとされました。

なお、これは
訴える側の任意の選択肢でもあるので、
例えば、
京都市在住の原告が
京都下京税務署長の処分の
取消訴訟を提起する場合は、
東京地裁、京都地裁だけでなく、
原告在住地管轄高裁が大阪高裁なので、
その地を管轄する地裁たる大阪地裁に
訴えてもかまわない、と
言い直せることでもあります。
また、
過去3年分に亘っての更正処分について
取消訴訟をする場合、
有利判決を期待できる裁判所への
移送の可能性を視野に入れつつ、
異なる裁判所に年次別に提起するという試みも
あることになります。


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2010年5月21日(金)
posted by 税理士西塚智裕 at 16:17| Comment(1) | TrackBack(0) | その他税金
この記事へのコメント
なんかととても合いそう。
Posted by cartier replica at 2014年07月16日 18:43
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