2010年07月20日

繰戻還付

■繰戻還付という制度

所得に課税する法人税や所得税には、
所得が赤字だった時の、
赤字の翌期以降への繰り越しの制度がある
とともに、

赤字の前期への繰り戻し
という制度もあります。

法人税の繰戻制度は
過去長らく適用停止になっていましたが、
昨年の税制改正で
資本金が1億円以下の法人につき
制度復活がありました。

ただし、
今年の税制改正で、
適用法人のうち
資本金5億円以上の法人と
完全支配関係にある法人の場合は
対象から除かれることに
なりました。


■税務調査があるという噂があるが

繰戻還付の請求があると、
「必要な事項について調査し、
その調査したところにより」還付する、との
税法規定があるので、
繰戻還付請求をきっかけに、
必ず税務調査があると言われていました。
でも、
調査と言っても、
机上調査とか電話確認調査とかも
「調査」の類なので、
実際は
このような軽い調査で済んでいる事例が
多そうです。


■還付額の計算の仕方

還付請求ができる金額は、
前期法人税額に
当期欠損金額を掛け
前期所得金額で割って算出します。

前期の課税所得が1000万円だったとすると、
前期税額は次のようになります。

800万円×18%=144万円
200万円×30%= 60万円
計 204万円

当期の欠損金が
400万円だったとすると、

204万円×400万円÷1000万円=81.6万円

還付請求税額は、
このように計算されます。


■地方税は要注意

法人事業税、法人住民税には
繰戻制度はありません。
繰戻制度を適用すると
法人税ではその分繰り越しの赤字は
消滅してしまいますが、
法人事業税では消滅せず、
翌期以降7年間に亘り繰り越されます。

法人住民税では、
課税標準は所得額ではなく
法人税額なので、
翌期以降の課税標準となる法人税額から
繰戻還付法人税額を控除します。


■繰戻還付適用による新たな添付書類

法人税で欠損金の繰戻還付を受けるときは、
「欠損金の繰戻しによる還付請求書」、
翌期の法人住民税では
「控除対象還付法人税額の控除明細書」
の添付が必要です。


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2010年7月20日(火)
posted by 税理士西塚智裕 at 11:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 法人税・会社経理
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