2010年08月02日

最高裁「二重課税」判決の射程

年金に相続税と所得税を二重課税するのは
所得税法違反、と
国側敗訴にする最高裁判決が
7月6日に下されました。

■二重課税の意味

相続による財産の取得は、
所得税法における「所得」であるが、
課税は
相続税法に委ねているので、
所得税法では非課税と
定めています。

この非課税規定は、
税法の重要な原理規定なのですが、
その原理を再確認したのが
今次の判決です。


■相続税法での課税の特徴

相続税の課税対象には、
所得税では課税されない
未実現の所得も取り込まれます。
将来取得年金の予定額が
課税対象となったのはそのためです。

類似のものとしては、

@預貯金・貸付金の未収利息等
A3ケ月以内収穫予定の天然果実
B訴訟中の損害賠償金などの債権
C生命保険契約に関する権利
その他があります。

これらが、実現所得となったときには、
相続税での評価額部分を超える額だけが
課税されるべきです。
源泉分離の利子課税などは、
二重課税排除を
確定申告による源泉税の還付で行うとなると、
そうできるようにするための
法改正が必要です。


■二重課税を定める矛盾規定

さらに、もっと重要なことは、
相続取得財産については
相続税で時価課税して、
また、その時価で所得税を二重課税するものが
沢山あるということです。

それは、
不動産や株式などの譲渡性資産です。
相続財産を譲渡するときに、
相続税課税済みの金額部分に
再度課税します。
明らかに二重課税です。

これらの法律内部の矛盾規定は、
この二重課税禁止判決を承けて、
見直されるべき事態に至った
と言うべきでしょう。


■アメリカの相続・贈与税・譲渡税

アメリカの相続税は遺産課税で
贈与税は贈与者課税なので、
相続財産は
死亡時に被相続人が相続人に譲渡
したような扱いになり、
相続人が取得する相続財産に付せられる取得価額は
相続時の時価となり、
二重課税は排除されるようになっています。

民主党は
政権政策で遺産課税を唱えていましたので、
近い将来に米国と同じ制度にするつもりなのか、
関心の湧くところです。


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2010年8月2日(月)
posted by 税理士西塚智裕 at 12:28| Comment(1) | TrackBack(1) | 所得税
この記事へのコメント
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