2010年10月26日

株式評価〜法人税等控除割合変更

■清算所得課税廃止と法人税相当額控除

財産評価基本通達が改正されて、
この10月1日以後の
相続贈与により取得した
取引相場のない株式の
純資産価額方式による評価額から
控除できる法人税等相当額の割合が
42%から45%に変更されました。

この変更は、
評価額の減額を意味するので
相続税贈与税の負担軽減になります。


■法人税額等相当額を控除する意味

株式の価値は
発行会社の貸借対照表の
純資産の部の時価評価額で
表示されます。
ただし、
時価評価前の純資産の部には
課税未済の金額はありませんが、
時価評価益は課税未済なので、
これへの課税額を控除する必要が
あるわけです。

これは、
株式の所有を通じて
会社の資産を間接所有する株主と、
事業用資産を直接所有する個人事業主との
所有形態の相違に対する
評価の均衡を図るための措置とも
いわれています。


<控除率45%の内訳明細>

@ 法人税     30.0%
A 事業税      5.3%
B 地方法人特別税 4.293%
C 道府県民税    1.5%(@×5%)
D 市区町村民税  3.69%(@×12.3%)
E 合 計     44.783% ≒ 45%

会社を解散するとした場合の
最後の事業年度の法人税率等の
合計割合の内訳です。


■42%から45%に変更された理由

法人税法から
清算所得課税制度が消滅してしまったので、
清算所得の税額を控除する方式も
消滅してしまうのではないか、
と注目していたところでしたが、
時価評価による評価益への課税の趣旨は
清算所得制度の廃止によって
消滅するわけではない、
ということで維持されました。

ただし、
清算所得に対する法人税の税率は
27.1%でしたが、
それが通常の法人税率の30%となり、
2.9%増加したことにより、
合計税率も3.4%増加しました。


■清算所得の廃止は増税だった

組織再編の活性化などにより
清算所得制度が課税の実態に合わなくなった、と
制度廃止の理由が述べられているものの、
説明の意味が理解しにくく、
含み益のある資産への
課税の取りこぼしを防ぐためとか、
マイナスの利積・資積の処理を
もてあましてとか、
色々な推測がされていますが、
意図してか否かは別として、
3.4%の税率アップによる
増税になっていることだけは
確かなことのようです。


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税理士西塚事務所   TEL03-6226-5140

2010年10月26日(火)

posted by 税理士西塚智裕 at 11:45| Comment(56) | TrackBack(0) | 相続税・贈与税

2010年09月16日

分離申告?

■分離申告とは

不動産の譲渡や
株の譲渡に関する所得税の申告は
「分離課税」
と言われます。

「分離課税」という言葉がもたらすイメージからか、
給与や年金や事業収入や不動産貸付収入などの
毎年の所得申告とは切り離し、
分離課税所得については、
別の用紙で申告するものと
誤解する人もいます。

分離課税に対応する言葉は総合課税で、
分離課税所得も総合課税所得も
一つの申告書で一括申告します。

一括申告に対応する言葉があるとしたら、
それが分離申告です。

しかし、分離申告という制度は、
所得税法にはありません。


■分離申告の制度はすでにある

ところが、
地方税法には分離申告があります。
地方住民税の退職所得です。

退職所得に対する個人の住民税
(市町村民税と道府県民税)については、
「退職所得申告書」
(所得税の「退職所得の受給に関する申告書」と同一用紙)
をその支払者を経由して、
課税市町村長に提出しなければならないことに
なっています

この退職所得に対する個人の住民税は、
地方税法上、「分離課税に係る所得割」
と呼ばれていますが、
いわゆる分離課税ではなく、
その実質は「分離申告」です。
他の同一年の所得とは
一切のプラスマイナスがないばかりか、
他の所得が翌年課税なのに対して、
退職所得は現年課税ですから、
申告年度さえ異なります。


■国税にもあった分離申告

突飛に聞こえるかもしれませんが、
分離申告の制度は
国税の所得税にもすでにありました。
税務大学校の教科書である「税法入門」に
「相続税は特殊な形態の所得税」
と書かれています。
すなわち、
相続税は「相続税」という名の
所得税ということです。

手続的に言えば、
相続税は「相続税」という名の分離課税で
且つ分離申告の所得税ということになります。

所得税法は
「相続、遺贈又は個人からの
贈与により取得する・・・所得については
所得税を課さない」と規定し、
最高裁の二重課税禁止判決も、
相続財産の取得により
その者に帰属する所得は
相続税の課税対象となるものであるから、
二重課税を排除の趣旨から
所得税を課さない、としており、
ここでも、
相続税が分離申告所得税だったことが
実質的に確認されています。


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2010年9月16日(木)
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2010年08月27日

離婚の際の財産分与 相続時財産分与との矛盾

■離婚時財産分与では取得者非課税

離婚の際の財産分与では、
分与を受けて財産を取得する側は
非課税です。

すでに財産分与請求権があり、
その請求債権の弁済として
財産を受け入れているだけだから、
という理由です。
そして、
妻のその取得財産の取得費は
そのときの時価となります。

逆に、
財産分与する側が
モノで財産分与したら、
時価でそのモノを譲渡したこととして、
分与者が課税されます。


■相続時財産分与では取得者課税

もし、
離婚時の妻に
財産分与請求権という
債権的財産がすでに確定的に在るのだとしたら、
夫の相続時まで添い遂げた妻には
当然にそれ以上に強い財産分与請求権という
債権的財産があるべきです。

それが
妻への「配偶者に対する相続税額の軽減」で
表現されているということであるならば、
「配偶者に対する相続税額の軽減」
の対象となった財産については、
その取得費は相続時の時価で
あるべきです。

離婚の場合との整合性が
とれていません。


■相続課税との二重課税禁止判決の反射効

二重課税禁止最高裁判決は
二重課税の回避として
相続税課税済額を所得計算から
排除することを要求しています。

この新判例の解釈論理は、年金だけでなく、
不動産などの場合にまで
二重課税排除を要求していると解するの
がスジです。
そういうスジ論からすると、
相続時財産分与で取得する
配偶者税額軽減対象財産については
相続税でまず非課税扱いとなり、
次いで、
これを譲渡するときには
相続時課税済みとして、
相続税評価額までの金額については
重ねて課税されることはなくなります。
これで、
相続時財産分与と
離婚時財産分与の取扱いが類似し、
整合することになりました。
最高裁新判例の反射効というべきです。


■離婚時と相続時の相違と整合

離婚時財産分与では
取得者非課税で分与者課税、
相続時財産分与では
取得者非課税で分与者課税ナシです。

相続時財産分与では
分与者への課税がないので、
取得者の取得費は相続時の時価ではなく、
分与者の取得費の引継ぎ
ということになります。

これはこれで整合的と言えます。

これをまとめると、
相続財産の二重課税排除を含めた、
配偶者への相続時財産分与後の譲渡所得計算は
次のようになります。

(譲渡収入−相続税評価額)−引継取得費
×(譲渡収入−相続税評価額)÷譲渡収入
=譲渡所得の金額


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2010年8月27日(金)

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2010年08月20日

最高裁二重課税判決の波及効果

■二重課税禁止最高裁判決の計算構造

先月7月6日の
年金二重課税禁止最高裁判決の新判例は、
二重課税の回避として
相続税課税済額を
所得計算から排除することを
要求しています。

また、所得税法は
支払済保険料を所得計算上控除するもの
としています。

これをまとめると次の計算式になります。

(年金収入−相続税評価額)            
−年金対応支払保険料按分額=年金所得

算式の相続税評価額は
相続時評価された年金受給権のうち、
その年の年金収入に対応するように
計算したあとのものです。

控除する支払保険料については、まず
過去の累積支払保険料総額を
毎年の各年金に収入比例的に対応計算させる
ことになっています。
その対応支払保険料はさらに、
その年の年金収入全体にかかわっているので、
課税済み部分と
未済部分とに按分計算し、
未済部分に係るもののみを
その年の年金収入から
控除する支払保険料にするものと
考えられます。


■年金以外の資産の場合

年金以外の資産でも、
計算構造は基本的に変わらないはずです。
むしろ、
相続税の課税を受けた資産を
何回かに分けて分割収受するようなものは
少ないでしょうから、計算はより単純です。

不動産の場合は
相続税評価額が
物件ごとに算出されていますので、
課税済分と未済分とに
過去の取得費及び譲渡費用を
按分計算するだけです。
株式等有価証券の場合も
基本的に同じです。

過去に100万円で買った土地を
600万円で相続時評価され、
1000万円で売却した場合、

(10,000,000−6,000,000)
−1,000,000×4,000,000÷10,000,000
=3,600,000 
(譲渡所得の金額)

という計算になるはずです。

しかし


■年金以外に触れようとしない

年金の事例も
過去何十万件かあるようで、
後処理が大変でしょうが、
件数で言えば
株式等有価証券になると
さらに想像を絶する件数になるでしょうし、
不動産の譲渡所得のことになると
こちらは金額的に想像を絶することに
なると思われます。

こういう理由からなのでしょうが、
当局も、多くの識者も、マスコミも
最高裁の二重課税禁止判決効果が
株式等有価証券や
不動産などにまで及んでいることに
触れようとしません。

また誰かが
二重課税確認裁判でもしないと
ダメなのでしょうか。


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2010年8月20日(金)
posted by 税理士西塚智裕 at 22:25| Comment(1) | TrackBack(0) | 相続税・贈与税

2010年08月19日

111歳事件と相続申告

即身成仏と即身仏

30数年前、
「即身成仏する」と自室に閉じこもり、
水や食事を絶って、そのままミイラになった、
というニュースは衝撃をもって配信されました。
現代社会の家族関係を表象するような
社会病理現象と受け止められたからだと
思います。
正確には、「即身成仏」とは、
仏教で人間が生身のままで究極の悟りを開き、
仏になることで、
それに対して、修行者が瞑想を続けて絶命し、
そのままミイラになることは
「即身仏」と言われるそうです。


■相続税の申告はどうなる

即身仏が億万長者だったら、
相続税の申告義務は
どうなってしまうのだろうか、などと、
職業柄ついつい考えてしまいました。

民法では、
「相続は、死亡によって開始する」と
定めていますので、
30数年前に「即身仏」になったところで
相続は開始されていることになります。

無申告に対する
税務署長の税額決定権限行使は
法定申告期限から5年以内に限定されており、
それとともに、
法定納期限から5年で
納税者の納税義務も時効により
消滅するとされています。

即身仏となった億万長者の相続税は
徴収不能なのでしょうか。


■法定申告期限がポイント

相続税の申告書の提出義務の法定申告期限は、
その相続の開始があったことを知った日から
10ヶ月です。
すでに即身仏になっている父親の死亡に、
相続人が気付かなければ、
たとえ30数年経っていても、
法定申告期限や法定納期限の計算そのものが
始まりません。
「相続の開始日」ではなく、
その開始を「知った日」から
申告期限の期限計算が始まるからです。
ただし、
たとえ30数年後でも、
申告義務を法定申告期限内に果たせば
ペナルティーはありません。


■それでも法の想定外

とは言え、30数年前の法律に基づき、
30数年前の相続財産を確定し、
それをその当時の評価方法で評価し、
申告納付するということには、
法の想定外な不都合が多々生じそうです。
引継ぎ資産にかかる所得税の申告については、
「知った日」以降に
相続人に申告義務が移るのではありません。
即身仏には当初から申告義務がなく、
申告がなされていたら、
それは無効申告であり、
かわりに相続人に申告義務があることになり、
30数年間の申告義務の無履行ということに
なります。


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2010年8月19日(木)
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2010年07月05日

H22改正〜小規模宅地等の課税特例見直し

■小規模宅地等の評価の見直し

今年の税制改正で、
相続税の小規模宅地に関して
大きな見直しがなされました。


■事業又は居住の不継続の場合の50%

被相続人が
事業又は居住の用に供していた宅地等
については、

事業又は居住の継続を問わず、
200平方メートルまでにつき
50%の減額ができる、という制度が
廃止されました。

ただし例外があります。
いわゆる『家なき子』の
相続取得に関してのみは、
居住物件について非居住のままでも、
申告期限まで所有継続であれば、
特定居住用宅地等の特例の適用
(減額割合80%)を
容認しつづけています。


■一人でも特例適用者がいれば

一の宅地等について
共同相続があった場合には、
その共同相続人のなかに、
配偶者または居住継続相続人がいれば、
その人の相続分割持分が
たとえ百万分の1であったとしても、
他の持分者全員に
特例適用(減額割合80%)される、
という制度が廃止されました。

改正後は、
取得者ごとに適用要件を判定することになり、
おいしい類が及んでいた
非居住継続相続人には
特例適用不可となりました。


■一部でも特定居住用宅地であれば

一棟の建物の敷地の用に供されていた
宅地等のうちに、
特定居住用宅地の要件に該当する部分と
それ以外の部分がある場合には、
すなわち、
マンションの一部が居住用で
他が貸付用その他というように、
わずかの一部でも
特定居住用宅地等の要件に該当していれば、
建物全部について特例適用(減額割合80%)される、
という制度が廃止されました。

改正後は、
特例適用部分ごとに按分して
軽減割合を計算することに
なりました。


■居住物件は複数でもよかった

特定居住用宅地等については、
主として居住の用に供されていた一の宅地等に
限られることを明確にしました。
従来は
複数の居住用宅地の存在が
許容されるような規定振りであったため、
係争が起き、
当局が敗訴の憂き目をみたところでした。


■3月以前相続の場合は

これらの改正は、
平成22年4月1日以後に開始する相続について
適用されます。
申告がこれからのものでも、
3月以前に相続発生のものは
以前の有利な規定がまだ使えます。

小規模宅地等の相続税の課税の特例(財務省)


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2010年7月5日(月)
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2010年06月01日

土地の価格

土地の価格(評価額)には、
つぎのものがあります。

■実勢価格(実際に取引される価格)

■公示価格

毎年1月1日現在の宅地標準土地(国土交通省)。
民間取引の指標

■基準地価格

毎年7月1日現在の宅地標準地の標準価格
(都道府県知事)

■路線価

相続税、贈与税の財産評価用(国税庁)
公示価格の8割が目安。

■固定資産税評価額

固定資産税の課税のための基礎となる価格
(市町村)
公示価格の7割が目安。


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2010年6月1日(火)
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2010年03月08日

マンション固定資産税の歴史

建物の区分所有等に関する法律は
昭和38年から施行されていますが、
固定資産税の課税は
その後20年もの長きに亘り区
分所有課税ではなく、
共有者課税を続けました。


■共有者課税と区分所有課税

共有者課税とは、
共有土地に対する
固定資産税の課税方式で、
共有者のうち任意の者に
「甲ほか○○名」宛の納税通知書
が交付され、
甲が共有土地全体の税額を
一括して納税する一括課税方式
のことです。

共有者間には連帯納税の義務
があります。

区分所有課税とは、
各区分所有の
戸別の持分に応じて課税する
分割課税方式のことで、
連帯納税義務が解除されています。


■マンションでの共有者課税

共有者課税のままだと、
マンション区分所有戸数者170とすると、
その中の1人甲に対し
「甲ほか169名」宛の納税通知書が
交付されることになります。

甲は170戸分の固定資産税と都市計画税を
それぞれに不満の湧かないように
按分し、徴収したうえで
期限までに納付しなければなりません。
エーッと思うようなことが強いられます。


■不合理を裁判に訴えたが

不満がおきるのは当然で、
共有者課税方式は、
民法における連帯債務者のように、
主観的連帯関係をもった者の間において
適用されるべきで、
共同住宅所有者のような、
相互に面識もない、
主観的連帯関係のない者の間においては
適用されるべきではない、
と主張した出訴がありました。

しかし、判決は、
共有土地については、
一括課税方式によるべきであり、
分割課税方式は、
適法であるとはいいがたいとし、
当時すでに
分割課税方式を採っていた神戸市に対し、
違法な課税方式というべきと
断罪しました。


■あきれた判決でようやく法改正

法の定める
税額徴収の要請に応えればよいのではないか
との関係者の観測に反した、
裁判所のゴリゴリの形式的な
法文解釈主義に遭遇して、
自治省も重い腰をあげ、
昭和58年の改正により
地方税法には第352の2条が追加され、
連帯納税義務が解除され、
持分ごとに課税されるよう
立法的解決が図られました。

課税当局も無策なら、
それ以上に裁判所も長い判決文を書くだけで
問題解決能力がないことを暴露した
歴史の一場面でした。


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2010年3月8日(月)
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2010年03月04日

特定居住用宅地等〜税制改正H22

■居住用家屋と敷地への特例

自己の居住用家屋とその敷地に対しては
税制上いろいろな優遇特例があります。

居住用土地建物の譲渡所得の特例や、
被相続人の居住の用に供されていた宅地に係る
小規模宅地の評価減の特例などです。


■居住用家屋は二つあってはいけないか

家屋を複数所有する人にとっては、
居住用家屋が複数になることはありえます。

それで、先に例示した、
居住用土地建物の譲渡所得の特例の規定では、
法律ではなく政令ではありますが、

「その者がその居住の用に供している家屋を
二以上有する場合には、これらの家屋のうち、
その者が主として居住の用に供している
と認められる一の家屋に限るものとする」

としています。

それでは居住用土地建物というとき、
いつも「主として」を基準に
「一つに限る」ということになるのでしょうか。


■「一つに限る」の規定がない

先に例示した、
相続税に関する
居住用小規模宅地の評価減特例の場合をみると、
「主として」を基準に「一つに限る」との規定が、
法律にも、政令にも、省令にも
ありません。

そうすると、
複数の家屋を
自己居住用としていた被相続人の場合には、
それら複数の家屋の敷地について、
どれにも
小規模居住用宅地の評価減特例が使える
ことになります。


■税務当局はそう解釈しない

この小規模居住用宅地特例は
以前、通達で規定していましたが、
このような特例を通達で定めることに
異論があり、
昭和58年に法律となったという
経緯があります。

そして、以前の通達では
「相続開始時において被相続人が主として
居住の用に供していた宅地をいうものとする」
とされていたので、
税務当局としては、
現在の法律の解釈を、
通達時代と同様「主として」を基準に
「一つに限る」としていました。


■敗訴して今年の税法改正に期す

この解釈をめぐる争いが起き、
地裁と高裁の判決がありました。

いずれの判決も、
税務当局の解釈をNOとしました。

今年の税制改正大綱に

「特定居住用宅地等は、
主として居住の用に供されていた
一の宅地等に限られることを明確化します」

とあるのは、

この判決を受けたものでした。


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2010年3月4日(木)
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2010年02月09日

贈与税の申告〜暦年課税と相続時精算課税

■2/1から始まっている贈与税申告

所得税の確定申告は2月16日からですが、
贈与税の申告は2月1日からで、
もう始まっています。

申告書の提出及び納税の期限は、
所得税の確定申告と同じ
3月15日(月曜日)です。


(1)贈与税の概要

平成21年1月1日から平成21年12月31日までの
1年間に財産の贈与(法人からの贈与を除く)
を受けた個人(「受贈者」といいます)は、
その贈与を受けた財産について、
次に掲げるケースに応じて
「贈与税の申告」をしなければなりません。


@
「暦年課税」を適用する場合には、
その財産の価額の合計額が110万円
(基礎控除額)を超えるとき

A
「相続時精算課税」を適用するとき


(2)暦年課税とは

1年間に贈与を受けた
財産の価額の合計額
(1年間に2人以上、または、同一人から
2回以上にわたり贈与を受けた場合には、
それらの贈与を受けた財産の価額の合計額)
を基に
贈与税を計算する方式です。

そして、
その財産の価額の合計額が
基礎控除額である110万円を超える場合には、
贈与税の申告をする必要があります。


(3)相続時精算課税とは

贈与者も受贈者も
一定の要件を満たしていることが前提で、
暦年課税に替えて
「相続時精算課税」を選択した場合に
適用されるものです。
具体的な課税方式は、
贈与財産の価額から
2,500万円の特別控除額が認められ、
それを超える部分に対して、
一律20%の税率が適用されます。

しかし、
この適用を受けるには、
その贈与を受けた財産の価額にかかわらず、
贈与税の期限内申告が必要です。
また、
この精算課税を選択した後は、
贈与者が亡くなる時まで
継続して適用され、
暦年課税には戻ることはできず、
さらに、
贈与者が亡くなった時には、
贈与を受けた財産は
贈与者の相続財産とみなして
持ち戻されます。

ですので、
暦年課税か相続時精算課税かの選択は
慎重に行なう必要があります。


(3)その他留意事項

婚姻期間が20年以上である配偶者から、

@
居住用不動産又は居住用不動産取得
のための金銭の贈与については、
基礎控除額110万円のほか
2,000万円を控除することができます。
また、今年は、直系尊属から
住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、
別途、500万円の非課税枠もあります。
但し、期限内申告が要件です。  


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2010年2月9日(火)
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2010年02月03日

相続税が過大納付〜固定資産税評価額が過大

最高裁で勝ってしまった

共産党から自民党まで
全ての市議会会派が
市長を支持した裁判での敗訴が
最高裁で最終的に確定しました。

勝ったのは一納税者です。
負けたのは鎌倉市です。

この事件は、
固定資産税評価額が
過大だったことにより、
相続税が過大納付に
なってしまったことに対し、
市長に
過大納付相続税分の損害賠償を
請求したものです。


税務署の仇を市役所に討つ

発端は、
相続税の申告の12年経過後に、
土地の固定資産税評価額が
どうみても高すぎるように思い、
市役所に調査依頼をしたことです。
その結果、
市役所は評価上の色々な
補正割合の適用に
原則的な誤りがあることを発見し、
12年前からの評価額を洗い直し、
固定資産評価審査委員会の決定に基づき
12年前から過大納付であった
固定資産税を返還しました。

調査依頼人は同時に、
12年前の相続税の申告と納付についても、
新しく修正された
12年前の土地の固定資産税評価額に基づき、
相続税評価額を計算し直し、
1,956万円の相続税過大額につき、
税務署に対し
更正の請求をしました。
しかし、
税務署は、
更正可能期間が
既に経過しているとして
減額修正の請求に応じませんでした。
それで、
市長に対して
国家賠償法上の請求を
提起したわけです。
当然にこれは係争となり、
裁判にもちこまれました。


大岡裁きの連続

平18-05-17 横浜地裁 認容・鎌倉市控訴
平19-09-26 東京高裁 棄却・鎌倉市上告
平21-10-02 最高裁 上告棄却

地裁判決は、
市は守るべき規範である評価基準等に従って
評価額を決定すべきにもかかわらず、
職務上通常尽くすべき
注意義務を怠り
漫然とそれをしていたのだから、
国家賠償法上の過失及び違法性が
認められる、としました。

税務署が
過納税金を返えしてくれないから
市役所に腹いせの請求をした、
という印象のある事件だったので、
地裁での
納税者勝訴の判決が出たときには、
意外な大岡裁き判決と
思われました。

ところが、
高裁でも納税者が勝ち、
最高裁でも勝ってしまいました。
鎌倉市の弁償額は
相続税過大額に年5%の利息相当額
約1,752万円を加えた
計約3,708万円です。


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2010年2月3日(水)
posted by 税理士西塚智裕 at 12:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 相続税・贈与税

2010年01月14日

中小企業の事業承継に関するアンケート結果

日本政策金融公庫の融資先
24,569社のアンケート調査によれば、
中小企業経営者の平均年齢は、
57.8歳で、半数近くの中小企業経営者
が60歳以上に達しています。

後継者について、未定である企業は約30%、
自分の代で廃業予定であるのが11%。
中小企業の事業承継が深刻な状況であることを
証明しています。

中小企業の事業承継に関するアンケート結果


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2010年1月14日(木)
posted by 税理士西塚智裕 at 19:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 相続税・贈与税

2010年01月06日

平成22年度税制改正大綱〜相続税・贈与税

平成21年12月22日に
「平成22年度税制改正大綱」が
発表されました。

そのサブタイトル

「〜納税者主権の確立へ向けて〜」

の文言は、
民主党政権の思いが垣間見えます。
そこで、
主要税目及び項目についての
改正内容の概要をお伝えします。

第1回目は、

「相続税及び贈与税」です。

なお、
改正法の骨格が明らかになり次第、
その詳細は順次お伝えして行きます。


(1)
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を
受けた場合の贈与税の非課税限度額が
引上げられます。

現行の限度額は500万円ですが、

@
平成22年中の贈与は1,500万円、
A
平成23年中の贈与は1,000万円

に引上げられます。

しかし、

B
受贈者に合計所得金額2,000万円以下の
所得制限が設けられました。

適用期限は平成23年12月31日
(現行 平成22年12月31日)まで
です。

また、
住宅取得等資金の贈与に係る
相続時清算課税制度の特例について、
現行の特別控除の上乗せ
(現行1,000万円)特例を廃止し、
年齢要件の特例の適用期限を
2年延長することとされました。


(2)
小規模宅地の相続税の
課税価額の計算の特例について、
相続人等による事業
又は居住の継続への配慮という
制度趣旨等を踏まえて
一部見直しがなされました。

@
申告期限まで事業又は居住を継続しない
宅地等(現行:200uまで50%減額)を
適用対象から除外、

A
共同相続があった場合には、
取得者ごとに適用要件を判定、

B
一棟の建物の敷地の用に供されている宅地等
のうち特定居住用宅地等の要件に
該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、
部分ごとに按分して減額割合を計算、

C
特定居住用宅地等は、
主として居住の用に供されていた
一の宅地等に限る、

とされました。

なお、
この改正は、
平成22年4月1日以後の相続
又は遺贈により取得する小規模宅地等に係る
相続税について適用されます。


(3)その他改正事項

@
定期金に関する権利の評価に関しては、
給付事由の発生有無を基準に、
原則、解約返戻金相当額をベースに、
一定の評価方法による評価額との
比較による方法に改正、

また、
A
相続税の障害者控除額の計算に関しては、
現行年齢70歳から
85歳に達するまでの年数とされました。

適用は、
平成22年4月1日以後の相続又は贈与
からです。


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2010年1月6日(水)

posted by 税理士西塚智裕 at 15:24| Comment(0) | TrackBack(1) | 相続税・贈与税

2009年12月21日

政治資金と贈与税

母親から提供された政治資金は
贈与に当たるのか?

現在、
鳩山首相兄弟の政治資金の件が
マスコミを賑わせています。
実際の事実関係はさておき、
仮に、兄は
母親からの寄附として
資金管理団体の政治資金収支報告書に記載し、
弟は記載していなかった、
という場合、
両者は税務上同じ扱いになるでしょうか?


■政治資金とは?

政治資金とは、
政治活動を行うために必要な資金で、
寄附や政治資金パーティーなどで
集めます。

贈与税の非課税財産です。

政治家個人への金銭による寄附
(選挙運動は除く)等は
禁止されているものの、
親族から資金管理団体への寄附は
禁止されていません。

資金管理団体とは、

政治家個人のために政治資金の拠出を受け、
あるいは、
政党から受けた政治活動に関する寄附の
経理を行うことができる団体です。

個人から個別の資金管理団体への寄附は、
年間150万円以内という制限があります。


■贈与とは?

贈与とは、
自己の財産を相手方に無償で与える
意思表示をし、
相手方がそれを受諾することによって成り立つ
契約です。
つまり、
口頭で「これあげる」、「ありがとう」
といえば成立します。
このような、
書面によらない贈与は
いつでも撤回できますが、
履行が終わった部分については
撤回できません。

また、
親子間の金銭貸借は
贈与とみられることが多いのですが、
借用書等により
返済期間、通常の利息を付すこと等を
明確にし、
口座振込み等により
返済事実を第三者が確認できれば、
贈与税は課税されません。


じゃあ、どうなの?

仮定の上での結論ですが、

兄は
母から直接、資金管理団体へ寄附を受け、
政治資金として記載していますので
贈与税は非課税ですが、
制限を超えて寄附を受けた
等の事実があれば、
政治資金規正法違反となる場合が
あります。

一方、弟は
報告書に記載せず、
政治資金との認識もなければ、
母親からの贈与となり、
贈与税が課税されます。

なお、贈与を受けた金銭を
弟名義で自己の資金管理団体に寄附する場合、
150万円の個別制限は
適用されません
(1000万円の総枠制限はあります)。


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2009年12月21日(月)
posted by 税理士西塚智裕 at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 相続税・贈与税

2009年11月26日

贈与税〜民主党政策集INDEX 2009

政権交代が
一種の合法的な革命のような印象を受ける
この秋の目まぐるしい政治ニュースの後で、
来年度予算編成に伴う
税制改正大綱づくりがいよいよ本格化
してきました。

税制も革命的な大変革を
とげるのでしょうか。


■予測のための公開資料では

民主党はマニュフェスト
をさらに具体化した
「政策集 INDEX 2009」を
公表しておりますので、
それをつぶさに読んでみると、
大きな変革項目が沢山ありますが、
中でも質的に最も大きな変革と
ならざるを得ない改正項目は

贈与税です。

そのまま実行されたら
天地逆転のような改正になります。


■遺産課税方式採用の連鎖

INDEX 2009では
「贈与税のあり方も見直します」
と書かれているだけなので、
見直しの内容は不明です。

しかし、
贈与税は相続税の補完税であり、
相続税のあり方が変わると
自ずと変わらざるを得ないもの
です。

現行相続税は、相続人に課税する
遺産取得者課税制度なので、
贈与税についても
贈与を受けた人に課税する
受贈者課税制度になっています。

INDEX 2009は、
相続税について
「遺産課税方式」への転換を唱って
います。

遺産課税とは、

遺産取得者ではなく、
遺産そのものに課税する方式です。


■アメリカの相続・贈与税・譲渡税

アメリカの相続税は
遺産課税で

贈与税は
贈与者課税です。

また、
相続財産は
死亡時に被相続人が相続人に譲渡したような扱い
になり、

相続人が取得する相続財産に
付せられる取得価額は
相続時の時価となります。

日本では、
相続取得財産には
相続税が課せられたとしても、
それを売却するときの取得価額は
被相続人の取得価額とされているので、
相続による時価課税と
売却による時価課税という
2回課税がされることになっています。


■自覚されている気配はなさそうだが

民主党がなぜ
遺産課税を唱えるのか不明ですが、
2008/12/24公表の
「税制抜本改革アクションプログラム」
によると、
格差拡大抑制策として
相続財産の一部を
相続人からではなく
遺産そのものから社会還元させることが適当、
としています。

遺産課税方式採用の連鎖を
自覚しているのかどうか、
それとも連鎖はないのか、
関心を抱かざるを得ないところです。


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2009年11月26日(木)
posted by 税理士西塚智裕 at 12:28| Comment(3) | TrackBack(2) | 相続税・贈与税

2009年09月09日

非上場株式の納税猶予制度と農地の納税猶予制度

平成21年度の税制改正で、
非上場株式の納税猶予制度が創設
されました。
これで、
納税猶予制度は2つになりました。

もう1つの制度は、
農地の納税猶予制度で
昭和50年に創設された歴史のある制度
です。

「株式」と「農地」では、
それぞれの猶予制度の適用を受けるための
「手続」及び「要件」は異なりますが、
「課税価額の計算」及び
「猶予税額の計算」方法は同じでは
と考える向きもあるかと思いますが、
実のところこれも異なります。


(1)みなし相続の場合の課税価額の計算

父から農地等を生前一括贈与を受け、
その贈与者である父が死亡したとき、
その受贈者(子)は
一括生前贈与を受けた農地等を
相続により取得したものとみなして、
相続税額の課税価額の計算及び相続税額を
計算します。
一方、
非上場株式の生前贈与についても
同様な計算をします。

しかし、
みなし相続財産として
課税価額の算入される価額は、
農地等の場合は
相続開始時の評価額にですが、
非上場株式の場合は、
当該株式の贈与時の評価額です。

このような差異は、
その財産の持つ性質の違いから
設けられたものと思われます。


(2)猶予税額の計算方法が異なる

農地等の納税猶予額の計算は、
農地等の通常価格が
農業投資価格を上回る部分に対する税額を、
その他の相続財産を加えた
いわゆる上積み計算したところの税率を適用して
猶予税額を算出しています。

一方、
非上場株式に係る相続税の納税猶予税額の計算は、
非上場株式のみを相続したものとして
下積み計算したところの税率を適用し、
かつ、
その20%相当額の差額による猶予税額を算出
しています。
結果、農地等の猶予税額の方が
大きく算出されます。

また、
農地等の納税猶予の特例は、
農業相続人でない者の相続税額の負担も軽減し、
加えて、
その軽減部分は農業相続人の猶予税額を構成し、
将来納税猶予が確定しても
確定納税額は、原則、農業相続人だけが
負担することになっています。

さらに、
非上場株式の納税猶予制度においては、
猶予税額確定に係る免責制度
(譲渡対価が猶予税額を下回る場合や
破産した場合の免除等)がありますが、
農地等にはありません。


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2009年9月9日(水)


posted by 税理士西塚智裕 at 10:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 相続税・贈与税

2009年08月18日

農地法等の改正〜農地税制:相続税・贈与税の納税猶予制度

食糧安定供給の確保から、
農地法等が大きく改正
(平成21年6月17日成立、24日公布)
され、
公布の日から6ヶ月以内の施行
となりました。

この改正農地法等は、
農地法、
農業経営基盤強化促進法、
農業振興地域の整備に関する法律、
農業協同組合法など
を含みますが、何といっても、
「農地法1条の改正」がすべて
と言っても過言ではありません。

すなわち、

農地の所有者が自ら耕作することが
最も適当であるとしてきた制度を改め、

農地の所有者と耕作者を分離し、
農地の賃貸借をも前提にした
農業の効率化と
農業生産の安定、拡大化に
転換したことです。

この農地法等の改正を前提に、
平成21年度税制改正で、
農地税制、
つまり相続税・贈与税の納税猶予制度も
改正されました。

その主なものは次の通りです。
なお、
改正法の適用は、原則、
農地法等の施行日からです。


(1)納税猶予期間の改正

従前は、
@
三大都市圏の特定市の市街化区域の農地で
生産緑地の指定を受けた農地
に関しては、
納税猶予期間は終身

で、
Aそれ以外の市街化区域
及びB市街化区域外農地では

20年でした。

しかし、改正では、

Bの市街化区域外農地は終身
となりました。

この終身への改正は、
農地法等の改正で
一定の要件を満たす農地の賃貸も
営農と認められたことによります。
また、
Aの市街化区域農地は、従前通り20年
です。
これは、都市計画法で
市街化区域農地は宅地転用を前提と
していることから、
据え置かれたものと推測されます。


(2)譲渡面積20%制限の廃止

従来は、
猶予期間中に
特例適用農地の総面積の
20%超を譲渡した場合には、
猶予税額が全額打ち切られ、
猶予税額に利子税を加えて
納付しなければなりませんでした。

しかし、今回の改正、
農業経営基盤強化促進法の規定に基づき
特例適用農地を譲渡した場合には、
総面積の20%を超える場合でも、
全額打ち切りの対象から外されました。
但し、
譲渡した割合に応じた猶予税額
及び利子税は
納めなればなりません。


(3)やむ得ない事情による営農

身体障害等で営農が困難となり
農地を貸し付けた場合にも
納税猶予の継続が
認められるようになりました。
また、
疾病等で一時的に営農できない場合も
一定の要件を満たすものについては、
営農を継続しているものとする取扱が
明確化されました。
 

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2009年8月18日(火)
posted by 税理士西塚智裕 at 18:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 相続税・贈与税

2009年07月14日

財産分与とは、相続とは

■財産分与とは

財産分与とは
離婚の時に
夫婦の協力で築いてきた財産を
2人で分け合うことです。

ご主人名義の財産であれ、
もともと
2人で築いてきた財産である
と言う考えに基づいて
分けるだけですから、
基本的に税金は
かかりません。


■相続とは

離婚しないで
ご主人がお亡くなりになった場合は
ご主人名義の財産は、
奥様が
ご主人の財産を相続したとして
相続税の対象となります。
この場合にも、
もともと2人で築いてきた財産である
と言う考えに基づいて
財産の半分までは
奥様に税金を掛けない
こととしています。

しかし
財産に換金性があれば良いのですが
換金性のない非上場株式などですと
税金の支払は現金ですから
大変な苦労となる可能性があります。

※ 参考

民法

(財産分与)

第768条

協議上の離婚をした者の一方は、
相手方に対して
財産の分与を請求することができる。

前項の規定による財産の分与について、
当事者間に協議が調わないとき、
又は協議をすることができないときは、
当事者は、
家庭裁判所に対して
協議に代わる処分を
請求することができる。
ただし、
離婚の時から2年を経過したときは、
この限りでない。

前項の場合には、
家庭裁判所は、
当事者双方が
その協力によって得た財産の額
その他一切の事情を考慮して、
分与をさせるべきかどうか
並びに分与の額及び方法を定める。

(配偶者の相続権)

第890条

被相続人の配偶者は、
常に相続人となる。
この場合において、
第887条又は前条の規定により
相続人となるべき者があるときは、
その者と同順位とする。


相続税法

(配偶者に対する相続税額の軽減)

第19条の2

被相続人の配偶者が
当該被相続人からの相続
又は遺贈により財産を取得した場合には、
当該配偶者については、
第1号に掲げる金額から
第2号に掲げる金額を控除した残額
があるときは、
当該残額をもって
その納付すべき相続税額とし、
第1号に掲げる金額が
第2号に掲げる金額以下であるときは、
その納付すべき相続税額は、
ないものとする。


当該配偶者につき
第15条から第17条まで
及び前条の規定により算出した金額


当該相続又は遺贈により
財産を取得したすべての者
に係る相続税の総額に、
次に掲げる金額のうち
いずれか少ない金額が
当該相続又は遺贈により
財産を取得したすべての者に係る
相続税の課税価格の合計額
のうちに占める割合を
乗じて算出した金額


当該相続又は遺贈により
財産を取得したすべての者に係る
相続税の課税価格の合計額に
民法第900条 (法定相続分)
の規定による当該配偶者の相続分
(相続の放棄があつた場合には、
その放棄がなかつたものとした場合
における相続分)を乗じて得た金額
(当該被相続人の相続人
(相続の放棄があつた場合には、
その放棄がなかつたものとした場合に
おける相続人)が当該配偶者のみである場合
には、当該合計額)に相当する金額
(当該金額が1億6000万円に
満たない場合には、1億6000万円)


当該相続又は遺贈により財産を取得した
配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額

以下省略



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2009年7月14日(火)
posted by 税理士西塚智裕 at 10:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 相続税・贈与税

2009年07月13日

財産分与と税金

■財産分与とは

財産分与とは
離婚の時に
夫婦の協力で築いてきた財産を
2人で分け合うこと
です。

ご主人名義の財産であれ、
もともと
2人で築いてきた財産である
と言う考えに基づいて
分けるだけですから、
基本的に税金はかかりません。


■不動産の財産分与は

しかし
財産と言っても、
日本の場合
多くは不動産です。

しかも
不動産の財産分与は
換金して分けるのではなく、
名義を変更して分ける事が
一般的です。

特にご自宅などは、
換金せずにどちらかが
そのまま住みつづける場合が
あります。


■ご自宅はご主人名義

ご自宅を購入する場合、
奥様が子育て等で
専業主婦の時などは、
奥様に収入がありませんから、
住宅ローンが組めず、
多くの場合は
ご主人名義となります。

共稼ぎで、
奥様にも収入がある場合は、
共有名義で
住宅ローンが組めます。


■財産分与は離婚成立後

共有名義にしろ、
ご主人名義にしろ、
ご自宅を
財産分与で奥様に分与する場合には、
離婚が成立し、
赤の他人になってから
おこなってください。

譲渡所得が発生します

税務上、
財産分与自体には
税金はかかりませんが、
ご自宅などの
不動産を分与した場合は、

一度不動産を売却して
換金した後に分与した
と考えます。

ご主人に
ご自宅を売却したことによる税金
がかかってきます。


■離婚前では特別控除は使えない

ご自宅を売却した場合、
売った値段から
買った値段を引いた譲渡所得から
3000万円の特別控除が
できます。

しかしこの特別控除は
ご夫婦や親族の間での取引では
摘要できません。
ですから
離婚が成立する前に、
財産分与による
名義変更をおこなった場合には、
特別控除が使えず
思わぬ税金が
かかってくることがあります。

くれぐれもご注意ください。


財産分与により住宅を取得した場合

財産分与に伴う譲渡損失の他の土地譲渡益との通算

財産分与事例


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2009年7月10日(金)



posted by 税理士西塚智裕 at 10:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 相続税・贈与税

2009年06月19日

事業承継に必要なもの

「事業承継の課題は」

事業承継問題というと、

@後継者の確保と育成
Aオーナー株式の後継者への移転
に伴う税の負担
B相続財産の分割トラブルの

3つに
大別されることが一般的です。

経営者にとって
難問であるこの課題には、
“様子見で時を費やすか、
トラブルを前提とした
テクニカルな対処”といった
二つの傾向が見られます。

けして間違いではありませんが、
ここではもう一つの
大切なヒントを申し上げます。


ヨーロッパに見るもう一つの視点

「ジャン、君のおじいさんは
この農園を開いたとき、
フランスでは・・・だから私たち
子孫・親族の誇りなんだよ。」
などと食卓を囲みながらの
日常の中に誇りという承継を
親族のDNAに刷り込む教育を
家庭や親族で習慣化していることに
事業承継の根本的な一例を
見ることができます。

よく社長に就任した時に、
“次の後継者育成を意図せよ”
と言われますが、
具体的な行動はそのような日常の
“生活様式”のなかでの
刷り込み活動であるといえます。


財産承継や金のなる木と勘違い

「兄貴、事業の後継なんて
重いもの背負って、大変だけれども
俺たちの子孫のために宜しく頼むよ、
俺も応援するから。」となれば、
事業承継問題は、
ほぼ解決したようなものですから、
子供たちに十分に愛情を込めた
バランスの良い生前対策も
スムーズに運べるということになります。


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2009年6月19日(金)
posted by 税理士西塚智裕 at 10:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 相続税・贈与税
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